第2275号 消費の変化に対応していく一年に
2025.01.15
2025年、日本は穏やかな清々しい空気の下での年明けとなった。今年は「巳年」で、さらには周期の干支の「乙巳(きのとみ)」と言われる年に当たる。干支は「十干」と「十二支」を組み合わせたもののこと指す。そして今年は、十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」が組み合わさった「乙巳(きのと・み)」でもある。蛇は、「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年」でもある。乙(きのと)は、「木」の要素を持ち、草木がしなやかに伸びる様子や横へと広がっていく意味を持ち、巳(み・へび)は、神様の使いとして大切にされてきた動物で、脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされている。
 そんな2025年。政治・経済とも大きな波乱なく平穏な中でのスタートとなった。国民の暮らしの基本となる消費生活も平穏に過ごせている。最近の消費動向調査によると、消費金額の増加が見られるものの、その主な要因は物価高騰にあることが明らかになっている。とくに食料品や日用品などの生活必需品において、半数が物価上昇を消費増加の理由として挙げている。消費者の価値観も変化しており、約3割が「節約と贅沢のメリハリをつける」「コストパフォーマンスを重視する」と回答している。注目すべきは、この傾向が世帯年収600万円以上の高所得層でも顕著になってきている点にある。若年層では貯蓄・投資志向が強く、不透明な将来への備えを重視する傾向が見られる。
 このような状況下で、消費者の購買行動に関しては経済的メリットを重視する傾向が強まっており、デジタル化の進展により、消費者の購買行動は大きく変化してきた。2000年代にはインターネットの一般化によって、消費者は自ら情報を検索し、商品評価を共有できるようになり、双方向的なコミュニケーションが生まれた。2010年代のスマートフォンとSNSの普及は、さらなる変革をもたらし、SNSでの共感や口コミが購買行動の重要な要因となり、企業のマーケティングも活発化した。近年では、ECサイトでの突発的な購入を示す「パルス型消費」や、フリマアプリでの転売を前提とした「SAUSE」など、新たな消費行動も出現している。
 今、消費者の購買行動は一段と多様化・複雑化しているが、企業には消費者との関係性構築がより一層重要になってきており、「消費」の形も大きく変化している。国内の企業、商店にとってもこの消費の変化への対応がさらに強まる一年となりそうだ。
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第2274号 超高齢化社会の到来による「2025年問題」
2025.01.01
 年の瀬を迎えて、マスメディアは2024年の総括を行っている。取り立てて大きな出来事のない平板に過ぎた1年だったように思うが、それでも色んな出来事が世間を騒がせた。そんな中、今年1年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、「金」(キン・かね)の文字が選ばれた。この「今年の漢字」は今や師走の風物詩ともなり、マスコミもこぞって取り上げるようになった。そして今年、オリンピック・パラリンピックの日本人選手などの活躍による光をあらわす「金(キン)」と、政治の裏金問題などの影をあらわす「金(かね)」の2つの意味を示す言葉が選ばれた。しかし、例年に比べて二番煎じで小粒感は否めない。
 今年「金」の字が選ばれた理由として、パリオリンピックやパラリンピックに出場したアスリートが数多くの金メダルを獲得し、日本人選手の活躍が連日報じられて日本中が熱狂に包まれた。スポーツの力が私たち国民に希望と感動をもたらし、多くの人々に勇気を与えた。さらに野球の大谷翔平選手が3回目のMVPを獲得するなど値千金の活躍だったほか、「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録されたことなど、光をあらわす「金(キン)」と、政治の裏金問題や金目当ての闇バイト強盗事件、止まらない物価高騰など、影をあらわす「金(かね)」の2つの意味をもつ言葉が選ばれたことになる。
 2024年は元日に発生した能登半島地震とそれにともなう事故など、衝撃的な出来事で幕を開けた。その後も地震や豪雨による自然災害、そして記録的な猛暑など、地球温暖化の影響を強く感じさせる出来事が続いた。下半期には内閣総理大臣とアメリカ大統領の交代があり、政治の動向に注目が集まった。
 そして2025年。超高齢化社会の到来による「2025年問題」といわれる大きな課題が表面化してきた。厚生労働省によると、2025年には65歳以上の人口が約3,500万人に達し、国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上になるというのだ。そこで、2025年問題における最大の課題といわれているのが労働力人口の減少。高齢化社会の進行によって今後はあらゆる産業が人材不足に陥り、さらに、2025年には経営者が70歳以上の中小企業が約245万社にまで増加し、その約半数の企業では後継者が決まっていないといわれている。この問題をこのまま放置すれば、約22兆円に及ぶGDP(国内総生産)が失われる可能性がある。今年は国家的な大問題への対応が必要になる年となりそうだ。
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第2273号「新語・流行語大賞」から見る2024年 
2024.12.15
 今年も12月、「師走」がやってきた。日々の暮らしも、仕事も取り立てて変化がないのに、何となく気忙しくなってしまう。「師走」は、陰暦12月の異称で、語源については、この月になると、家々で師(僧)を迎えて読経などの仏事を行うため、師が東西に忙しく走り回るため、「師馳(しは)せ月」といったのを誤ったものという説、また、四時の果てる月だから「しはつ(四極)月」といったのが、「つ」と「す」の音通(おんつう)によって「しはす」となったのだとかの説が伝わる。この言葉のもつ語感が、年の暮れの人事往来の慌ただしさと一致するためか、陽暦12月の異称としても親しまれ、習慣的に用いられている。 
 そんななか、今年も「新語・流行語大賞」が発表された。これは1年の間に話題になった出来事や発言、流行などの中からその年を代表する言葉を選ぶ賞で、12月2日にノミネートされた30の言葉から、今年のトップテンが発表された。1月に能登半島地震が発生し、暗いニュースからのスタートとなったが、パリ・オリンピック、大谷選手の活躍など、スポーツにおける明るい話題も数多くみられた。この1年について「物価高に苦しんだ」と振り返る声が多く聞かれたほか、印象的な出来事として「猛暑」や「闇バイト」などを挙げる人も多かった。
 そして、今年の年間大賞には「ふてほど」が選ばれた。民放のテレビドラマ「不適切にもほどがある!」を略した言葉だというが、小欄自身も、周りの人達にも、この言葉を口にした人がいないという不可思議な選定となった。このドラマの主人公を演じた阿部サダヲさんですら、ドラマで口にした以外、一度も「ふてほど」と言ったことがないと述べている。国民のほとんど誰もが知らない言葉が流行語大賞に選ばれるという前代未聞の出来事が起きたのだ。ちなみに、テレビドラマに関する言葉が年間大賞に選ばれたのは11年ぶり。2013年にNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」のセリフ「じぇじぇじぇ」以来だという。
 ほかにも、アサイーボウル、インバウン丼、裏金問題、界隈、カスハラ、初老ジャパン、新紙幣、ソフト老害、トクリュウ、南海トラフ地震臨時情報、はいよろこんで、はて?、50-50、ふてほど、ホワイト案件、名言が残せなかった、もうええでしょう、やばい・かっこよすぎる俺、令和の米騒動——色んな言葉が並んだが、どれをとっても例年に比べて小粒なのは否めない。それだけ、今年が平穏無事な年だったともいえるが、来たるべき2025年につながる新しい芽の登場に期待したい。
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