第2292号 10年間で3割以上減っている「街の本屋さん」
2025.10.01
「暑さ、寒さも彼岸まで」とは良く言ったもので、朝夕めっきり涼しくなり、凌ぎやすくなった。そんな中、テレビを一切見なくなって半年以上になる。世の中のことは新聞とラジオで間に合わせている。そして四季のなかで、一番好きな読書の秋の到来である。自然に本屋に足が向く。
その書店が今、大ピンチに陥っているという。インターネット、スマホ、SNSなど、デジタルの荒波が押し寄せ、「街の本屋さん」が次から次へと閉店している。日本出版インフラセンターによると、書店の2023年度の総店舗数は全国1万918店で、10年前の1万5602店から3割以上減った。23年度の閉店数は614店で新規開店は92店と、減少に歯止めはかかっていない。「書店のない市区町村」が24年8月末時点で全国の27.9%に及んでいる。そして、この書店激減の背景には、売り上げ不振がある。
出版科学研究所によると、日本で紙の出版物(本と雑誌)の売り上げは1996年に2兆6564億円とピークに達し、そこから下降の一途をたどっている。2023年には1兆612億円まで落ち込んだ。とりわけ目立つのが、雑誌の落ち込みで、2022年の売り上げ(週刊誌、月刊誌、コミックス、ムック)は4418億円と、ピークだった1997年の3割にも満たない。
関連して「読書離れ」を物語る数字もある。文化庁の2023年度「国語に関する世論調査」では、1カ月に本を1冊も「読まない」と答えた人が62.6%と、5年前の前回調査を15.3ポイント上回り、初めて6割を超えた。読書量が以前より「減った」と答えた人も69.1%。減った理由を尋ねたところ「情報機器(スマホやタブレット端末など)で時間が取られる」が43.6%と、最も多かった。
このように、紙の出版物の市場が縮小し続けてきた原因は、社会全体のデジタル化に尽きる。情報収集の手段が多様化し、余暇の時間をインターネットやSNSが奪っているのだ。出版物の市場のピークだった1996年は、ネットの普及が一気に進んだウィンドウズ95の発売翌年に当たり、そこから下降の一途をたどる。人間が健全に成長していくうえで、街で本が手軽に買える環境は貴重で、書店が減れば日本人の知的レベルが低下しかねない。出版文化の多様性を守ることが大切だといえる。本屋が「文化なのだから経営を助けて」といった声を上げるのは甘えでしかない。小売業の一形態である以上、苦しい局面では自力で活路を探っていくしかない。何とかこの事態を乗り切ってほしいと、切に願う。
その書店が今、大ピンチに陥っているという。インターネット、スマホ、SNSなど、デジタルの荒波が押し寄せ、「街の本屋さん」が次から次へと閉店している。日本出版インフラセンターによると、書店の2023年度の総店舗数は全国1万918店で、10年前の1万5602店から3割以上減った。23年度の閉店数は614店で新規開店は92店と、減少に歯止めはかかっていない。「書店のない市区町村」が24年8月末時点で全国の27.9%に及んでいる。そして、この書店激減の背景には、売り上げ不振がある。
出版科学研究所によると、日本で紙の出版物(本と雑誌)の売り上げは1996年に2兆6564億円とピークに達し、そこから下降の一途をたどっている。2023年には1兆612億円まで落ち込んだ。とりわけ目立つのが、雑誌の落ち込みで、2022年の売り上げ(週刊誌、月刊誌、コミックス、ムック)は4418億円と、ピークだった1997年の3割にも満たない。
関連して「読書離れ」を物語る数字もある。文化庁の2023年度「国語に関する世論調査」では、1カ月に本を1冊も「読まない」と答えた人が62.6%と、5年前の前回調査を15.3ポイント上回り、初めて6割を超えた。読書量が以前より「減った」と答えた人も69.1%。減った理由を尋ねたところ「情報機器(スマホやタブレット端末など)で時間が取られる」が43.6%と、最も多かった。
このように、紙の出版物の市場が縮小し続けてきた原因は、社会全体のデジタル化に尽きる。情報収集の手段が多様化し、余暇の時間をインターネットやSNSが奪っているのだ。出版物の市場のピークだった1996年は、ネットの普及が一気に進んだウィンドウズ95の発売翌年に当たり、そこから下降の一途をたどる。人間が健全に成長していくうえで、街で本が手軽に買える環境は貴重で、書店が減れば日本人の知的レベルが低下しかねない。出版文化の多様性を守ることが大切だといえる。本屋が「文化なのだから経営を助けて」といった声を上げるのは甘えでしかない。小売業の一形態である以上、苦しい局面では自力で活路を探っていくしかない。何とかこの事態を乗り切ってほしいと、切に願う。
2025.10.01 11:12
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