第2264号 物価値上げの中での2024年の夏
2024.08.01
猛暑の最中(さなか)ではありますが、朝、目覚めると、昼、何を食べようかなと考える。こんな朝がもう何十年と続いている。食い倒れの町に生まれ育った人間の性(さが)なのかも知れないが、食への思いは人一倍強いものがある。会社を出てものの2、3分も歩けば、うどん、中華、洋食にお好み焼きに至るまで、ハイどうぞと、ありとあらゆる食べ物が待ち構えているのだ。
最近、その昼食に異変が見られる。由々しき問題が勃発している。なかでも、ランチの値段が上がっており、ひたひたと1000円札1枚に近づいている。ある調査によると、金額を理由にランチで食べたいメニューを我慢した経験ある人は 7割にのぼるという。日本のサラリーマンの給与平均は30年前とほぼ変わらないといわれているから、相次ぐ値上げに「かなり厳しい」という人も多い。「低価格チェーン」の代名詞ともいえる牛丼大手チェーン3社でみると、去年の暮れに各社一斉値上げに踏み切ったばかりだが、早くも値上げという企業も多く出ている。
さて、今、社会で起きている値上げの現象だが、現時点での飲食料品値上げは411品目を数え、3000品目を超える大規模な値上げラッシュとなった前年同月(3595品目)に比べ、3184品目・88.6%減と7カ月連続で前年同月を下回ったほか、3カ月連続で1000品目以下の水準にとどまった。この数字を見る限り、2022年から続いている値上げは一段落したように見える。
2022年から現在も続いている値上げラッシュにはさまざまな要因があるが、中でも「原材料価格の高騰」「ロシアのウクライナ侵攻の長期化」「急激な円安」の3つが主な要因となっている。今の異常気象による供給不足に加え、2021年にはコロナで落ち込んでいた世界経済が回復し、一気に需要が増えたことで生産物流が追いつかない状況になった。つまり、原材料価格の高騰が光熱費や食料品の値上げの原因のひとつとなっていることがわかる。さらに、2022年6月以降の急激な円安も、値上げラッシュに大きく影響を与える一因となった。円安になるということは円の価値が下がり、輸入コストが大きくかかってしまう。日本は、原油などのエネルギー資源や食料の多くを輸入に頼っているため、輸入コストの増加の影響はさまざまなものに波及している。
ともあれ、値上げの影響がとくに大きい食料品は別として、対策として、固定費の削減がある。暑い夏、こまめに節電して乗り切る以外に道はない。大変なシーズンになりそうだ。
最近、その昼食に異変が見られる。由々しき問題が勃発している。なかでも、ランチの値段が上がっており、ひたひたと1000円札1枚に近づいている。ある調査によると、金額を理由にランチで食べたいメニューを我慢した経験ある人は 7割にのぼるという。日本のサラリーマンの給与平均は30年前とほぼ変わらないといわれているから、相次ぐ値上げに「かなり厳しい」という人も多い。「低価格チェーン」の代名詞ともいえる牛丼大手チェーン3社でみると、去年の暮れに各社一斉値上げに踏み切ったばかりだが、早くも値上げという企業も多く出ている。
さて、今、社会で起きている値上げの現象だが、現時点での飲食料品値上げは411品目を数え、3000品目を超える大規模な値上げラッシュとなった前年同月(3595品目)に比べ、3184品目・88.6%減と7カ月連続で前年同月を下回ったほか、3カ月連続で1000品目以下の水準にとどまった。この数字を見る限り、2022年から続いている値上げは一段落したように見える。
2022年から現在も続いている値上げラッシュにはさまざまな要因があるが、中でも「原材料価格の高騰」「ロシアのウクライナ侵攻の長期化」「急激な円安」の3つが主な要因となっている。今の異常気象による供給不足に加え、2021年にはコロナで落ち込んでいた世界経済が回復し、一気に需要が増えたことで生産物流が追いつかない状況になった。つまり、原材料価格の高騰が光熱費や食料品の値上げの原因のひとつとなっていることがわかる。さらに、2022年6月以降の急激な円安も、値上げラッシュに大きく影響を与える一因となった。円安になるということは円の価値が下がり、輸入コストが大きくかかってしまう。日本は、原油などのエネルギー資源や食料の多くを輸入に頼っているため、輸入コストの増加の影響はさまざまなものに波及している。
ともあれ、値上げの影響がとくに大きい食料品は別として、対策として、固定費の削減がある。暑い夏、こまめに節電して乗り切る以外に道はない。大変なシーズンになりそうだ。
第2263号 自転車大国 大阪で「自転車」を考える
2024.07.15
今日も大阪の町は自転車で溢れ返っている。前籠とうしろの荷台に子供を乗せ、3人乗りでスイスイと走るお母さんも見かける。自転車の通行が禁止されている歩行者専用道路上を、左耳にイヤホンを付けて音楽 を再生し、飲料を持った右手でハンドルを握り、左手でスマートフォンを持って操作するなどしながら走行している若者を多い。人間の脚力だけで進む自転車は排気ガスを吐き出すこともなく、自然環境にもやさしい。とくに合理的な大阪人にとって自転車は生活になくてはならぬ存在になっている。小欄も今を去ること数十年前の高校生の頃、毎年夏休みに自転車で百貨店のお中元の品を運んだ記憶がある。
今や生活に欠かせないものとなった自転車は明治時代の末期にわが国に渡来したといわれ、その後一般庶民に普及し、第2次大戦後の1950年代にサイクリングブームが起こり、加速度的に普及していく。2019年の自転車保有台数は約7000万台に登り、都市における一交通手段として、広く日常生活に浸透してきた。現在、環境に優しく、健康にも良く、経済的で、災害時にも有効な交通手段として、世界的に自転車利用が促進されている。また、コロナ禍を通して、自転車通勤者の増加や、15分コミュニティにおける交通手段としても、改めて注目されている。
自転車の保有台数はこの40年近くで2倍以上に増えているが、ここ10年ぐらいは横ばいとなっている。地域的に見ると、人口100人あたり保有台数第1位は埼玉県で76台。2位以下は大阪府(75台)、京都府(75台)東京都(72台)と都市部が続いてる。鉄道網が発達した都市部では鉄道と自転車が庶民の足となっている。全国的に見ると自転車保有台数よりも自動車保有台数が多いところが多く、自転車の方がが多いのは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県の8都府県だけとなっている。東日本よりも西日本、中でも関西周辺で自動車保有台数が多い。節約思考が強い関西では安く移動できる自転車が好まれている。
一方、46位の長崎県は人口が多い長崎市、佐世保市に坂が多いことが普及の妨げとなっていると思われる。最下位の沖縄県も実は坂が多い上、すべて車で用を済ませてしまうので自転車利用者は極端に少ないのだ。小欄自身は齡を重ね、もう自転車にすら乗れない年齢に達してしまった。さわやかなシーズンには颯爽と風を切ってペダルを踏みたいものと思う。そういえば会社の近所でも、自転車に乗っているお年寄りをついぞ見かけなくなってしまった。むべなるかなの心境でいる。
今や生活に欠かせないものとなった自転車は明治時代の末期にわが国に渡来したといわれ、その後一般庶民に普及し、第2次大戦後の1950年代にサイクリングブームが起こり、加速度的に普及していく。2019年の自転車保有台数は約7000万台に登り、都市における一交通手段として、広く日常生活に浸透してきた。現在、環境に優しく、健康にも良く、経済的で、災害時にも有効な交通手段として、世界的に自転車利用が促進されている。また、コロナ禍を通して、自転車通勤者の増加や、15分コミュニティにおける交通手段としても、改めて注目されている。
自転車の保有台数はこの40年近くで2倍以上に増えているが、ここ10年ぐらいは横ばいとなっている。地域的に見ると、人口100人あたり保有台数第1位は埼玉県で76台。2位以下は大阪府(75台)、京都府(75台)東京都(72台)と都市部が続いてる。鉄道網が発達した都市部では鉄道と自転車が庶民の足となっている。全国的に見ると自転車保有台数よりも自動車保有台数が多いところが多く、自転車の方がが多いのは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県の8都府県だけとなっている。東日本よりも西日本、中でも関西周辺で自動車保有台数が多い。節約思考が強い関西では安く移動できる自転車が好まれている。
一方、46位の長崎県は人口が多い長崎市、佐世保市に坂が多いことが普及の妨げとなっていると思われる。最下位の沖縄県も実は坂が多い上、すべて車で用を済ませてしまうので自転車利用者は極端に少ないのだ。小欄自身は齡を重ね、もう自転車にすら乗れない年齢に達してしまった。さわやかなシーズンには颯爽と風を切ってペダルを踏みたいものと思う。そういえば会社の近所でも、自転車に乗っているお年寄りをついぞ見かけなくなってしまった。むべなるかなの心境でいる。
第2262号 「本のある生活」は楽しい
2024.07.01
以前にも取り上げたことがあるが、日本人の文化水準の低下を防ぐためにも、全国における書店の減少を食い止めなければならない。出版文化産業振興財団の調査によれば、昨年9月時点で、全国の「書店ゼロ」の市町村は26.2%にのぼる。
全国的にも、1999年に2万2000軒あった書店は、2020年には約1万1000軒と20年間で半減した。さらに、その流れは加速している。全国的に見ても、書店数は減少の一途をたどっている。今、小欄はネットで本を取り寄せることが多い。ネットでは、自分の好む情報に囲まれ、周りが見えなくなる状態だ。それとは逆に、書店では目的以外の本もたくさん目に入る。流行を感じるし、他の人たちの考えも意識する。そういう文化の重要性を感じる。
1960年代は、ひとつの街に何軒も「本屋さん」があった。学生だった当時は少年漫画の全盛期で、発売日には分厚い週刊漫画誌が店頭に並んでいた。そんななか、小欄は本も読むし、漫画にも目を通した。そんな本屋さんが、街から急激に姿を消しているのだ。
2005年度には1万8608軒の店舗があったが、ごく最近には1万873店舗と、約20年で8000店舗近く減っている。紙書籍の市場規模はこの3年間で7%もダウンした。1.2兆円という数字は、ピーク時と比べると半分以下の水準である。本の単価自体は上昇傾向にあることを踏まえると、売れている冊数はもっと落ち込んでいる。
年齡によって増減があり、ここ数年は低下傾向にあるが、本を読む人が20年前の半分になったというようなことはない。たしかにアマゾンは売り上げを伸ばしているようだが、その影響は限定的なものである。もともと書店は大半が個人商店として立ち上がってきた。日本に活字や本のある生活が新しい文化として芽生えていった戦後すぐの時期、日本全国のいろんな街の駅前に小さな本屋ができて、日本の出版文化を担ってきた。一方で、時を経て電子書籍が誕生し、出版界も大きな変貌をとげるが、これも、紙の本を読んでいた人がそのまま電子で読むようになったかといえば、コミック以外はそうでもない。紙の本が減った分、電子書籍が伸びているのでなく、本を読むこと自体が減っている現実がある。
書店の数はその国の文化度のバロメーターともいわれる。今はいろんなメディアがあり、情報も知識も氾濫している。その中核を担ってきた紙媒体の衰微と書店の減少は切っても切れぬ相関関係にある。そして、その減少は国の未来にとっても由々しき問題なのである。
全国的にも、1999年に2万2000軒あった書店は、2020年には約1万1000軒と20年間で半減した。さらに、その流れは加速している。全国的に見ても、書店数は減少の一途をたどっている。今、小欄はネットで本を取り寄せることが多い。ネットでは、自分の好む情報に囲まれ、周りが見えなくなる状態だ。それとは逆に、書店では目的以外の本もたくさん目に入る。流行を感じるし、他の人たちの考えも意識する。そういう文化の重要性を感じる。
1960年代は、ひとつの街に何軒も「本屋さん」があった。学生だった当時は少年漫画の全盛期で、発売日には分厚い週刊漫画誌が店頭に並んでいた。そんななか、小欄は本も読むし、漫画にも目を通した。そんな本屋さんが、街から急激に姿を消しているのだ。
2005年度には1万8608軒の店舗があったが、ごく最近には1万873店舗と、約20年で8000店舗近く減っている。紙書籍の市場規模はこの3年間で7%もダウンした。1.2兆円という数字は、ピーク時と比べると半分以下の水準である。本の単価自体は上昇傾向にあることを踏まえると、売れている冊数はもっと落ち込んでいる。
年齡によって増減があり、ここ数年は低下傾向にあるが、本を読む人が20年前の半分になったというようなことはない。たしかにアマゾンは売り上げを伸ばしているようだが、その影響は限定的なものである。もともと書店は大半が個人商店として立ち上がってきた。日本に活字や本のある生活が新しい文化として芽生えていった戦後すぐの時期、日本全国のいろんな街の駅前に小さな本屋ができて、日本の出版文化を担ってきた。一方で、時を経て電子書籍が誕生し、出版界も大きな変貌をとげるが、これも、紙の本を読んでいた人がそのまま電子で読むようになったかといえば、コミック以外はそうでもない。紙の本が減った分、電子書籍が伸びているのでなく、本を読むこと自体が減っている現実がある。
書店の数はその国の文化度のバロメーターともいわれる。今はいろんなメディアがあり、情報も知識も氾濫している。その中核を担ってきた紙媒体の衰微と書店の減少は切っても切れぬ相関関係にある。そして、その減少は国の未来にとっても由々しき問題なのである。