第2289号 「休暇」をどう過ごせばいいのか
2025.08.15
ほぼ毎年、8月16日のお盆の日には、五山の送り火を見るため京都に行く。これと夏の甲子園での高校野球観戦は自分にとって欠かせない恒例行事になっている。そして、今年も平均6日間(8月11〜16日/11日は山の日で祝日)の夏期休暇がスタートした。昔はお盆休み、今は夏期休暇と呼ばれ、東京や大阪の大都市圏では、帰省や行楽の高速道路の大渋滞の模様が報道される。日本中、最も暑い時期での民族大移動が今年も始まった。
さて、夏の休暇の元となったのは、「薮入り」という風習にあり、お店(おたな)の奉公人が正月およびお盆の8月16日前後に暇を許されて、都会から地方の田舎に帰ることをから始まった。農村では奉公人だけでなく、他家へ嫁いだ女性が里帰りする日でもあり、こうした風習は近世に一般化した。そして、令和の今もなお、長期休暇に形を変えて続いている。
日本生産性本部の余暇創研は、7月15日に「レジャー白書2025」を公表した。余暇活動の参加率は「国内観光旅行」が、前年から10ポイント上昇して42.8%となり、2019年以来の1位となった。また、「ドライブ」や「外食」など、外出をともなう種目に上昇傾向がみられる。一方で潜在需要は「海外旅行」が1位で、前年1位の「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」の需要は、参加率の上昇にともなって減少し、2位となった。「海外旅行」は潜在需要の減少幅が「国内観光旅行」と比べて小さいため1位になっている。
かつて働き過ぎを先進国から指摘され、馬鹿正直に休みを増やし続けてきた日本。祝祭日の数では世界トップの国になってしまった。それにともない、時間を楽しく使うレジャー大国ともいわれる国となり、今年の夏も楽しさに充ちた情景が繰り広げられているのだ。
今年、余暇創研が仕事(勉強や家事を含む)と余暇のどちらを重視するかを尋ねたところ、余暇重視派(「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」「仕事は要領よくかたづけて、できるだけ余暇を楽しむ」の合計)が67.8%と過去最高を更新した。とくに「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」割合が2021年以降増加しており、37.8%とこちらも過去最高を更新した。余暇活動の参加率は「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が48.3%で3年連続の1位。「外食(日常的なものは除く)」「読書」「音楽鑑賞」が続く。
しかし、約1カ月も有給休暇がもらえる欧米の先進国に比べれば、まだまだ働き過ぎの観は否めない。夏休み、どう過ごすか、悩みは尽きない。
さて、夏の休暇の元となったのは、「薮入り」という風習にあり、お店(おたな)の奉公人が正月およびお盆の8月16日前後に暇を許されて、都会から地方の田舎に帰ることをから始まった。農村では奉公人だけでなく、他家へ嫁いだ女性が里帰りする日でもあり、こうした風習は近世に一般化した。そして、令和の今もなお、長期休暇に形を変えて続いている。
日本生産性本部の余暇創研は、7月15日に「レジャー白書2025」を公表した。余暇活動の参加率は「国内観光旅行」が、前年から10ポイント上昇して42.8%となり、2019年以来の1位となった。また、「ドライブ」や「外食」など、外出をともなう種目に上昇傾向がみられる。一方で潜在需要は「海外旅行」が1位で、前年1位の「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」の需要は、参加率の上昇にともなって減少し、2位となった。「海外旅行」は潜在需要の減少幅が「国内観光旅行」と比べて小さいため1位になっている。
かつて働き過ぎを先進国から指摘され、馬鹿正直に休みを増やし続けてきた日本。祝祭日の数では世界トップの国になってしまった。それにともない、時間を楽しく使うレジャー大国ともいわれる国となり、今年の夏も楽しさに充ちた情景が繰り広げられているのだ。
今年、余暇創研が仕事(勉強や家事を含む)と余暇のどちらを重視するかを尋ねたところ、余暇重視派(「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」「仕事は要領よくかたづけて、できるだけ余暇を楽しむ」の合計)が67.8%と過去最高を更新した。とくに「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」割合が2021年以降増加しており、37.8%とこちらも過去最高を更新した。余暇活動の参加率は「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が48.3%で3年連続の1位。「外食(日常的なものは除く)」「読書」「音楽鑑賞」が続く。
しかし、約1カ月も有給休暇がもらえる欧米の先進国に比べれば、まだまだ働き過ぎの観は否めない。夏休み、どう過ごすか、悩みは尽きない。
第2288号 Z世代が時代をリードする
2025.08.01
人類最古の文字といわれる古代バビロニア語に「今の若い者は何を考えているかわからない」という記述が残されていると言う。時代は変われど、ジェネレーションギャップは何千年も昔から永遠のテーマとして引き継がれてきたのである。
そして今、「Z世代」なる言葉がマスメディアに頻繁に登場するようになった。Z世代とは、1990年代半ばから2000年代の初めに生まれた世代を指し、その世代特有の価値観や行動が注目されている。デジタルネイティブとして育ったZ世代は、インターネットやSNSを駆使して自己表現を行い、社会とのつながりを大切にする。Z世代以外の世代のなかには、Z世代の価値観や行動をどのように理解し、育てるべきか悩んでいる人も多い。Z世代は「ポストミレニアル世代」とも呼ばれており、その由来はアメリカの「ジェネレーションZ」にある。アメリカでは各世代をアルファベット順に呼んでいて、Z世代の前は「X世代」「Y世代」と呼んでいた。X・Yの次ということで、Z世代と名付けられた。Z世代は生まれた時からインターネットが身近にあり、それまでの世代が「均質性」や「効率・生産性」といった組織中心の価値観を重視してきたのに対し、Z世代は「個性・多様性」「目的・意味」「助け合い・学び合い」などを大切にする傾向があるとも言われている。
この世代は、2025年現在で15歳から30歳の年齢層に該当し、インターネットやスマートフォンが普及した環境で育ち、デジタル技術とともに成長してきた。そのため、情報収集やデジタルコミュニケーションに関してツールを活用することが日常的であり、他の世代と比較してもデジタルを使いこなす高い能力を持っている。また、Z世代はワーク・ライフ・バランスを重視する傾向にあり、そのため意味がないと感じる残業や休日出勤を好まず、「自分らしさ」を大切にしているため、プライベートの時間が削られる会社では自分らしく働けないと考え、離職につながることも多く見受けられる。
一方で、家族や友人といった、横のつながりや仲間を大切にする。日常生活にはネットショッピングが定着し、商品を購入する前にスマホなどでしっかりリサーチし、物を購入する。「モノ消費」よりも「コト消費」を重視する傾向がある。環境問題や社会課題への関心が高く、環境にやさしい商品や、社会的課題の解決に取り組んでいる企業の商品を選ぶ傾向があるなどの特徴がある。この新しい価値観を持つZ世代とどう向き合っていくか、これからのビジネスの最大課題となりそうだ。
そして今、「Z世代」なる言葉がマスメディアに頻繁に登場するようになった。Z世代とは、1990年代半ばから2000年代の初めに生まれた世代を指し、その世代特有の価値観や行動が注目されている。デジタルネイティブとして育ったZ世代は、インターネットやSNSを駆使して自己表現を行い、社会とのつながりを大切にする。Z世代以外の世代のなかには、Z世代の価値観や行動をどのように理解し、育てるべきか悩んでいる人も多い。Z世代は「ポストミレニアル世代」とも呼ばれており、その由来はアメリカの「ジェネレーションZ」にある。アメリカでは各世代をアルファベット順に呼んでいて、Z世代の前は「X世代」「Y世代」と呼んでいた。X・Yの次ということで、Z世代と名付けられた。Z世代は生まれた時からインターネットが身近にあり、それまでの世代が「均質性」や「効率・生産性」といった組織中心の価値観を重視してきたのに対し、Z世代は「個性・多様性」「目的・意味」「助け合い・学び合い」などを大切にする傾向があるとも言われている。
この世代は、2025年現在で15歳から30歳の年齢層に該当し、インターネットやスマートフォンが普及した環境で育ち、デジタル技術とともに成長してきた。そのため、情報収集やデジタルコミュニケーションに関してツールを活用することが日常的であり、他の世代と比較してもデジタルを使いこなす高い能力を持っている。また、Z世代はワーク・ライフ・バランスを重視する傾向にあり、そのため意味がないと感じる残業や休日出勤を好まず、「自分らしさ」を大切にしているため、プライベートの時間が削られる会社では自分らしく働けないと考え、離職につながることも多く見受けられる。
一方で、家族や友人といった、横のつながりや仲間を大切にする。日常生活にはネットショッピングが定着し、商品を購入する前にスマホなどでしっかりリサーチし、物を購入する。「モノ消費」よりも「コト消費」を重視する傾向がある。環境問題や社会課題への関心が高く、環境にやさしい商品や、社会的課題の解決に取り組んでいる企業の商品を選ぶ傾向があるなどの特徴がある。この新しい価値観を持つZ世代とどう向き合っていくか、これからのビジネスの最大課題となりそうだ。