第2291号 「値上げの秋」がやって来た
2025.09.15
 今年の夏は暑かったと言いたいところだが、9月に入っても、まだまだ暑い日々が続いている。この影響により、海産物や農作物に深刻な影響が出ているという。こうした中、9月は1400品目を超える食品の値上げが控えている。
 何故、日本の都市部の夏はこんなにも暑くなっているのか。気象庁によると、今年の暑さの大きな要因として考えられるのが「偏西風」の影響であり、この偏西風は冷たい空気と暖かい空気の境い目に流れるが、今年は平年よりも北寄りになった。このことにより、日本全体が偏西風の南の暖かい空気に覆われる形となって気温が上がっていったという。その高気圧が偏西風を北に押し上げて、 季節の進行がとても遅いと見込まれている。少なくとも10月いっぱい、11月の初めぐらいまで厳しい残暑が長引くと見込まれている。10〜20年前の東京都心の夏は、最高気温の平均が29℃くらいだった。今年は現時点で、最高気温の平均が32.2℃なので、日本の夏が急激に暑くなっていることがわかる。
 そんな季節の移ろいの中、値上げの秋がやって来た。ことしはモノの値段が去年を上回るペースで増え続け、9月時点ですでに2022年の総数を超え、累計で約3万2000品目が見込まれている。今年は、夏の記録的な猛暑など天候の影響も値上げの要因の一つと見られる。漁業者からは「台風や秋雨前線の影響で操業できない日が多い」、また農家からは「天候不順により穀作物の生産が減少している」といった声が相次でいる。
 一方で、最近の値上げの大きな要因として、人件費の上昇を価格に転嫁する動きがあると指摘されている。2025年通年の値上げは、11月までの公表分で累計1万8697品目にのぼり、前年通年の実績(1万2520品目)を49.3%上回っている。1回当たり平均値上げ率は15%と、前年(17%)をやや下回る水準が続いている。食品分野別では「調味料」(6108品目)が最も多く、前年(1715品目)から+256.2%と大幅に増加した。値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった。原材料高による値上げが全体の97.2%を占めた。人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増を背景とした「人件費」の上昇が続き、また、特に6月以降の値上げを中心に電気・ガスなど「エネルギーコスト(光熱費)」由来の値上げも目立ち、全体の66.4%を占めた。この流れは2026年も続くと見られており、対応が迫られている。
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第2290号 「盆踊り」とともに夏が去って行く
2025.09.01
 毎年8月は、甲子園で行われる高校野球観戦(実際に球場に足を運ぶ)と、京都の五山送り火を見に行くことが個人的な恒例行事になっている。高校生の頃から余程の事情がない限り続けている。五山送り火は、毎年8月16日に東山連峰にある大文字山(如意ヶ嶽)で午後8時ちょうどに点火され、「松ケ崎妙法」、「船形万灯籠」「左大文字」、「鳥居形松明」の五山で5分おきに炎が上がり、お精霊(しょらい)さんと呼ばれる死者の霊をあの世へ送り届ける伝統行事として、長年にわたって京都市民に親しまれてきた。
 そして今年も、大文字山から西へ1㎞ほど離れた船岡山の天辺(頂上でも120mほど)から幻想的な光景を目にする。ここは観光客が押し寄せることもなく、小高い丘の上から静かに炎の競演を目に焼きつけることができる。このような伝統行事は、日本に古くから伝わり、季節の移り変わりを感じる年中行事として各地で連綿と続けられてきた。お正月や節分、そしてお盆など、それぞれその地域ならではの特色を持つ行事が行われてきた。また、人生の節目を祝う儀礼も伝統行事に含まれ、七五三やお宮参りなどがその代表的なものとなっている。
 こうした年中行事に関しては、若い頃ほとんど興味も関心も持たなかった。それが、学生から社会人、そして結婚して子どもができ、一人立ちするようになると、こうした行事と無縁ではおれなくなり、結果として社会との繋がりが強くなっていく。日本の移り行く四季の中、さまざまな意味を持つ大切な年中行事がある。これら伝統行事・年中行事には、全国的に親しまれるものから、地域の特色が強いものまで多くあり、現代社会に生きる私達にとっても、伝統に触れる貴重な機会となっている。
 とりわけ、今が最盛期の夏祭りは、日本の夏の風物詩のひとつであり、多くの地域で開催され、神社や寺院の境内などで、さまざまな催し物や屋台が出て、神輿を担いでの練り歩きや、太鼓、お囃子の演奏などもあり、大人から子どもまで楽しむことができる。これも夏祭りの魅力だ。また、夏祭りの最大のイベントでもある花火大会も多くの場所で開催される。夏祭りには、さまざまな屋台も出店される。夏祭りの雰囲気を味わうために、浴衣や甚平を着たり、縁日の輪投げや金魚すくいなどを楽しんだりする人も多い。8月も終わる頃になると、各地で盆踊りも盛んで、暑かった夏を振り返り、行く夏を惜しむ。今年もそんな夏が足早に去っていく。そして秋がやってくる。
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