第2302号 人はなぜ「走る」のか
2026.03.01
 私が今住んでいるマンションの前を3万4000人のランナーが駆け抜ける、大阪マラソンが2月22日の日曜日に行われた。2月にしてはポカポカ陽気に誘われて1時間ほど見物した。このマラソンでは、コース沿いでパフォーマンスを披露する「ランナー盛上げ隊」が沿道の8か所からエールを送り、よさこいなどの踊りや和太鼓のパフォーマンスを披露してランナーを励ました。昨年は最高気温7度の寒さの中で行われたが、今年は20度まで気温が上昇。マラソンに最適なコンディションのもとでの開催となった。一口に参加者3万4000人というが、これは長野県大町市や静岡県下田市など、日本における地方の中核都市の人口に匹敵し、わが国の一つの市や町がそっくり大移動することと一緒のことなのだ。 この数字からもわかるように、今、日本ではマラソンやジョギングの「走る」ことが大ブームで、全国各地で大会が開かれている。
 では、何故人は走るようになったのか。生物学者と人類学者によれば、「アフリカのサバンナで動物を狩るために長い距離を走らなければならなかったから」、人類は走ることで人間になったという。人間には走る遺伝子が備わっており、人類は走るために進化し、走ることによってさらなる進化を遂げた。長い人類史のなかで、人はさまざまな理由で走ってきた。戦いで援軍を求めるため、勝利を伝えるため、神に祈りを捧げるため、もっと速く、もっと遠くへ… それはいつしか限界への挑戦に変わり、競技としてのマラソンへと繋がっていく。マラソンは、紀元前490年に古代ギリシャの兵士が「マラトンの戦い」の勝利を伝えるため、マラトンからアテネまで約40kmを走り、報告後に息絶えたという故事にちなんでいる。1896年の第1回アテネオリンピックでこの伝令を称えて競技化され、1924年から42.195kmに固定され、現代に至っている。
 「ランニングハイ」という言葉がある。走り始めて30分ほど経つと爽やかな楽しみを感じ気分も良くなる、どこまでも走りたい気がするという状態のことを指す。
 古代の壁画に人が両手を挙げて走る姿が描かれている。人は「走ること」で生きる喜びを表し、嬉しいときに本能的に走る習性があるのかもしれない。複雑化した現代社会において、人間はあまりに多くのモノを身に付け過ぎた。人は「走ること」によって「原初状態」に戻ることができるのではないか。『人は、なぜ走るのか』という問いに対する合理的な答えは見つからないが、それでも、今日も人は走り続ける。 
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第2301号 選挙の仕組みが大きく変わる
2026.02.15
 2月がやってきた。1カ月間の日にちも少なく、寒さのピークの時期でもあり、1番地味な月でもある。その2月にあっても節分の日は特別で、豆まきもあり、最近では、恵方巻きも加わって楽しい1日を過ごす。「節分」は、もとは各季節の始まりの日の前日のことで、今のように立春の前日を指すようになったのは、江戸時代のことだった。そして節分といえば豆まき。これは、季節の変わり目には鬼が現れやすいと考えられていたことに由来し、鬼に豆をぶつけて追い払い、代わりに福を呼び込もうというわけだった。豆を用いるのは、穀霊(穀物の精霊)が宿るとされ、魔除けの力が備わっていると信じられてきたからで、炒った大豆には「魔目を射る」という意味も込められている。
 今はほぼ見かけなくなったが、節分では鬼を追い払うと同時に魔除けも行ぅ。その代表的なものが、焼いた鰯の頭を柊(ひいらぎ)の小枝に刺して門口に飾り、鬼が入ってこないようにする。臭気と棘で結界を張る、昔ながらの魔除けだ。そして、節分に欠かせないのが恵方巻き。もとは関西の一部地域の風習だったが、今では節分といえば恵方に向かって恵方巻きを食べる日、というほどに定着している。その年の恵方を向いて、願い事を思いながら無言で一本食べ切る。ちなみに2026年の恵方は「南南東やや南」。この風習、外国の人から見れば奇妙な光景に映ると思っていたが、今の若い人はほとんどしなくなったらしい。
 この立春から春分の間に、その年初めて吹く南寄りの強い風が「春一番」。冬の終わりと春の始まりを告げる風として、季節の変化を知らせてくれる。気象庁によると、今年の春一番はまだ観測されていない。
 この2月も社会は動いた。2月8日に投開票された衆院選で、自民党は歴史的大勝を収めた。SNSでの高市首相個人への関心の高まりが、有権者の投票行動に結びついた可能性が高いという。 衆院選投開票日に読売新聞社とNHKが実施した出口調査で、投票先を決める際に「SNS・動画投稿サイト」を最も参考にしたと答えた人は24%に上った。この動きを反映したのか、選挙カーによるガナリ声も減り、静かな選挙戦となった。結果、世論調査でも35%が比例選の投票先を自民と回答し、昨夏の参院選の7%から大幅に増えた。SNSや動画を投票の参考にする有権者の支持が自民へ移ったとみられる。「SNS選挙元年」と言われた2024年以降は、SNSが選挙結果を左右しかねないと認識されるようになった。この事例からも、世の中の仕組みが大きく変わっていることが読み取れる。
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第2300号 日本経済は「メリハリ消費」が浸透 
2026.02.01
 経済産業省の調査によると、最近のわが国における消費トレンドは、物価高の影響で節約志向が高まり、消費に対する慎重な姿勢が広がっているという。本調査では、商品カテゴリごとに消費金額の変化を質問しているが、食料品、飲料、日用品などの生活必需品において、「1年前と比較して消費金額が増えた/大幅に増えた」と回答した割合が、ここ数年増加傾向にある。とくに食料品ではこの傾向が顕著で、その理由として半数以上が「物価高」を挙げており、この数年で最も高い割合となった。相次ぐ値上げにより必要に迫られて消費金額が増えたことから、価格高騰が日常生活に影響を及ぼすことが示される結果となった。
 一方で、「消費金額が減った/大幅に減った」と回答した割合も増加傾向にあり、その理由として「物価高」が最上位に挙げられたほか、より「節約するようになった」と回答した割合が増加する結果に。外食や旅行などの外向き消費は、「消費金額が増えた/大幅に増えた」と回答した割合が増加傾向にあるほか、「消費金額が減った/大幅に減った」と回答した割合が減少しており、コロナ禍からの需要回復がうかがえる。しかし、外食・旅行ともに消費金額が増えた層は減少し、減った層の割合が増加するなど、外向き消費は物価高を背景にやや減速したと考えられる。
 ギフトや衣料品などの生活必需品以外のカテゴリでは、「消費金額が減った/大幅に減った」と回答した割合が高まっている。「今後、消費額を増やしたいもの」については、4割以上が「増やしたいものはない」と回答しているほか、「国内旅行」や「貯蓄/投資」をはじめ、ほぼすべての項目で、例年と比べて最も低い消費意向となった。中でも「増やしたいものはない」については、20代を除きその割合が増加している。また、世代が上がるほど「増やしたいものはない」と回答した割合が高くなる傾向は継続し、シニア世代は現状維持の傾向が顕著に表れている。
 「この数年で変化した価値観」については、「節約と贅沢のメリハリをつけるようになった」層が継続して最も多く、メリハリ消費が浸透していることがうかがえる。「節約志向が高まり、より低価格なものを購入するようになった」という割合も増加しており、価値ある支出に意識を向けている結果が示された。
 節約したものの最上位は「食料品」である一方で、贅沢したものの最上位は「国内旅行」で、日々の支出を効率化し、身近なところでたまに贅沢をするといった、より慎重かつ堅実な消費姿勢がうかがえる。
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