第2211号 再び外国人観光客で賑わう町に
2022.06.01
直線距離で日本一長いと言われる天神橋筋商店街。北から南へ2.6kmあるのだ。その商店街には、会社から1分もかからず到達する。インバウンド(訪日外国人)華やかなりし頃、商店街は人で溢れ返っていた。なかでも中国人は国が広いせいか、声も大きく、終日、通り全体がざわめいていた。子供連れも多く、一体学校はどうなっているのかと、余計な心配をしたものだ。さて、本日もぶらぶら探索がてら昼飯を食べに出る。当時とくらべると、実に静かな町になっている。「食い倒れの町」と称される大阪の中でも、最も大阪らしい風情漂う商店街であり、和洋中、ありとあらゆる食事処が並んでいる。でも、結局食べるところは数軒で、一週間、半径100m以内をぐるぐる回っているだけなのだ。コロナ禍にあって、食べること以外、何の愉しみもない毎日を送っている。そんな中、新型コロナウイルスの水際対策を巡って、政府は6月1日から入国者数を1日1万人から2万人へ引き上げると発表した。国、地域の感染状況や検査陽性率などのリスクに応じて緩和し、約8割の入国者は検査や待機措置が免除されるという。観光業界は政府に対し、経済の本格的な回復にはインバウンドの復活が欠かせないとして、外国人観光客の受け入れを早期に再開するよう要望している。すでに外国人観光客の受け入れ再開に向け、5月から、米国、豪州、タイ、シンガポールの4カ国に限定したパッケージ・ツアーの実証実験が行われている。商店街が賑わった当時の光景が忘れられない。とくに商店街というのは賑わってなんぼのもので、地方のシャッター通りの商店街を目にするにつけ、早く賑わいを取り戻してほしいと願う。日本に行きたいと希望する外国人はコロナ禍前とまったく変わらない。その一番手だった中国は、主要都市の都市封鎖で当面厳しいものがあるが、日本に行きたい人の数は減っていない。各国の旅行代理店にも問い合わせが相次いでいるという。しかしながら、日本の水際対策の緩和は世界と大きくかけ離れ、半鎖国状態が続いている。何事にも慎重にのぞみ、審議を重ねている間にも時は流れる。決断力ほぼゼロの岸田総理のもと、将来への見通しもなく、その場限りの対応の日々が続いている。そんな状況下、英国はワクチン未接種でも検査なしでの入国を認め、シンガポールは観光客の入国規制をほぼなくした。日本も感染状況に応じて、国際的な動きを視野に入れた対応が迫られている。訪日客で溢れる大阪に戻ってほしい。
第2210号 今年もゴールデンウィークがやってきた
2022.05.15
5月のゴールデンウィークが終わった。この「ゴールデンウィーク」という言葉は、昭和26年、現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画が、正月やお盆興行よりヒットしたのを期に、多くの人に映画を観てもらおうと、当時の映画関係者が考えついた造語で、アメリカでは通用しない和製英語。その由来は、ラジオで最も聴取率の高い時間帯「ゴールデンタイム」に倣ったもので、当初は「黄金週間」と言われていたが、インパクトに欠けることから「ゴールデンウィーク」となったという。この連休中の一泊以上の国内旅行者数は前年比68.4%増の1600万人にのぼり、「遠方」「日数・費用増」の傾向だったとJTBが分析している。コロナ禍の影響で自粛を余儀なくされた人達の多くが旅行に向かったものと見られる。JALは国内線の予約数が前年の2倍、ANAは1.5倍、JR東海は新幹線の予約席数が2.4倍と発表。中央道や東名高速などの高速道路の渋滞の様子は連日テレビ画面に流れた。街や駅、観光地に人影がまばらだった2年前とは大きく変わった。とはいえ、JTBによれば、2019年比では33.4%減、コロナ禍前の2400万人からみると、元通りには至っていない。
さて、日本は世界中でも、最も祝日の多い国とされる。とくに、今年は大型連休がたっぷり取れる「祝日当たり年」となった。昨年はスポーツの祭典「オリンピック」に合わせて、祝日の移動や休日振替などで混乱したことも記憶に新しい。しかし、今年は振替休日がないうえ、土日と祝日の並びが良いため「土・日・月」と続く3連休が多くなった。その数、去年の2倍以上となる。2022年の3連休は9回にも及ぶ。通常、祝日が土曜日に当たると「振替休日」の扱いにならない。その点、2022年は祝日と土曜日がかぶっているのは1月1日の元旦のみ。年間祝日をほぼフルで満喫することができる年となっている。ちなみに2021年の3連休以上の休日数は6回。3連休だけをカウントすると、4回しかなかったので、2022年がいかに休暇の多い年かが分かる。
休日が増えて嬉しいのは若い頃のことで、さしてすることのない年齢に達した人間にとっては、これだけ祝日が増えると、有り難迷惑な面もある。一週を7日と決めた昔の人は偉かった。明治5年、太陽暦が日本で採用されてから百数十年、7日に一度の休みが人々の生活のリズムを作っている。これ以上、祝日が増えると困ると思っているのは小生だけだろうか。
さて、日本は世界中でも、最も祝日の多い国とされる。とくに、今年は大型連休がたっぷり取れる「祝日当たり年」となった。昨年はスポーツの祭典「オリンピック」に合わせて、祝日の移動や休日振替などで混乱したことも記憶に新しい。しかし、今年は振替休日がないうえ、土日と祝日の並びが良いため「土・日・月」と続く3連休が多くなった。その数、去年の2倍以上となる。2022年の3連休は9回にも及ぶ。通常、祝日が土曜日に当たると「振替休日」の扱いにならない。その点、2022年は祝日と土曜日がかぶっているのは1月1日の元旦のみ。年間祝日をほぼフルで満喫することができる年となっている。ちなみに2021年の3連休以上の休日数は6回。3連休だけをカウントすると、4回しかなかったので、2022年がいかに休暇の多い年かが分かる。
休日が増えて嬉しいのは若い頃のことで、さしてすることのない年齢に達した人間にとっては、これだけ祝日が増えると、有り難迷惑な面もある。一週を7日と決めた昔の人は偉かった。明治5年、太陽暦が日本で採用されてから百数十年、7日に一度の休みが人々の生活のリズムを作っている。これ以上、祝日が増えると困ると思っているのは小生だけだろうか。
第2209号 新しい消費の形が生まれている
2022.05.01
そういえば最近、ほとんどモノを買っていないことに気づいた。とくに新型コロナウイルス感染症が蔓延して以来の2年と数カ月、着るものは何も買っていない。無理もない。会社と家の往復以外、外出らしい外出とはまったく無縁の日々を送っている。人とも会わない。おしゃれをする必要もない。ふと、何のために生きているのだろうと哲学的思索が脳裡をよぎることもある。
ちょうど2年前、2020年4月に発令された緊急事態宣言を受け、外出機会の減少やリモートワークの普及が進み、自宅で過ごす時間が増加した。これにより人々の購買意欲は自分自身の生活空間を快適に保つ、あるいは自分自身の心身を健康に保つ方向へと向かった。私もまさにその通りで、余分なモノを買い求める意欲が失せてしまったのだ。世間全般も、経済や所得の先行きに不安が生まれたことから、生活に必要のない支出や物の購入を絞るだけでなく、生活必需品の購入についてはできるだけ適切な価格で購入したいというニーズが鮮明になってきている。コロナ禍で消費の形そのものが変わってしまった。店に足を運ぶのではなく、ECサイトを利用して自宅にいながらのショッピングが増加した。家具、家電、食料、衣類など、これまで店頭で購入される機会の多かった品目が便利なECサイトを通じて購入される機会が増えている。感染リスクをできるだけ抑えたいという消費者心理に対して、家まで届けてくれるECサイトの利便性が高く支持されているようになった。このような消費者の変化は、「生活必需品へのニーズの高まり」「適切価格での購入」「ECサイトの利用増加」という形となって現れている。経済産業省が発表した「2021年上期の小売業販売」の調査」において、業態別では「百貨店」「コンビニエンスストア」の販売額が減少し、一方、「総合スーパー」「家電大型専門店」「ドラッグストア」
「ホームセンター」の販売額は増加したという結果が出ている。好調な業態は生活必需品の品揃えが豊富であり、柔軟な特価販売が可能、さらにEC化の動きも百貨店やコンビニエンスストアと比較すると進んでいる状況だ。こういった要因が、それぞれの業態における売り上げの明暗に影響している。「生活に必要な物」を「お得な価格」で、「できればECサイトで買いたい」というのがコロナ禍における消費者の行動・心理の傾向といえる。外での活動よりも、家で過ごす時間に重きを置く傾向への変化をしっかりと把握して、新しいビジネスの形を構築する時期にきたようだ。
ちょうど2年前、2020年4月に発令された緊急事態宣言を受け、外出機会の減少やリモートワークの普及が進み、自宅で過ごす時間が増加した。これにより人々の購買意欲は自分自身の生活空間を快適に保つ、あるいは自分自身の心身を健康に保つ方向へと向かった。私もまさにその通りで、余分なモノを買い求める意欲が失せてしまったのだ。世間全般も、経済や所得の先行きに不安が生まれたことから、生活に必要のない支出や物の購入を絞るだけでなく、生活必需品の購入についてはできるだけ適切な価格で購入したいというニーズが鮮明になってきている。コロナ禍で消費の形そのものが変わってしまった。店に足を運ぶのではなく、ECサイトを利用して自宅にいながらのショッピングが増加した。家具、家電、食料、衣類など、これまで店頭で購入される機会の多かった品目が便利なECサイトを通じて購入される機会が増えている。感染リスクをできるだけ抑えたいという消費者心理に対して、家まで届けてくれるECサイトの利便性が高く支持されているようになった。このような消費者の変化は、「生活必需品へのニーズの高まり」「適切価格での購入」「ECサイトの利用増加」という形となって現れている。経済産業省が発表した「2021年上期の小売業販売」の調査」において、業態別では「百貨店」「コンビニエンスストア」の販売額が減少し、一方、「総合スーパー」「家電大型専門店」「ドラッグストア」
「ホームセンター」の販売額は増加したという結果が出ている。好調な業態は生活必需品の品揃えが豊富であり、柔軟な特価販売が可能、さらにEC化の動きも百貨店やコンビニエンスストアと比較すると進んでいる状況だ。こういった要因が、それぞれの業態における売り上げの明暗に影響している。「生活に必要な物」を「お得な価格」で、「できればECサイトで買いたい」というのがコロナ禍における消費者の行動・心理の傾向といえる。外での活動よりも、家で過ごす時間に重きを置く傾向への変化をしっかりと把握して、新しいビジネスの形を構築する時期にきたようだ。