第2197号 新しい生活スタイルは「習慣」となり得るのか
2021.11.01
 先週の金曜日(10月22日)夜、久しぶりにお酒つきのご飯を食べるため、キタの食事どころに出かけた。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置がともに解除されて初めての週末とあって、街は人で湧いていた。みなさん、随分辛抱されたのだろう。人々の足取りから、うきうきとした心弾む楽しさが伝わってくる。夜の盛り場はこうでなくてはと、しみじみ感じ入る。昨年4月から1年半の間で、学生時代からの友人3人とは、2度目の会食である。バブルの頃から通い始めた北新地、馴染みの店も何軒かできた。しかし、今回のコロナ禍で半分は閉店に追い込まれてしまっている。寂しい限りである。こんな状況下にありながらも、頑張って店を続けてくれていることに感謝の乾杯でスタート。お家ごはんにもそれなりの味わいはあるが、プロが腕に選りをかけて作ってくれた料理はやはり別格だ。時節柄、控え目なトーンの会話で時間が過ぎていく。話題の8割が体のこと、病気のことになるのは、年齢的に致し方ない。
 それにしても、コロナ禍以前は月に2、3回は盛り場に飲みに出ていた。しかし今、家で静かに過ごすという、新しく身についた生活はこれからも習慣としてあり続けるのだろうか。わが身に置き換えても、答は出せないでいる。世の中全般もここに来て、「重荷」からの解放感で商業地、観光地ともに人出が増えているという。一方でモノ・コトの両面で、家ナカ消費がぐんと浮上したのだ。
 日本生産性本部がこのほど発表した2020年の余暇活動の参加人口は、動画鑑賞や読書をはじめとする在宅レジャーの上位となる一方、これまで中心的な余暇活動であった観光や外食などが大きく減少、余暇関連市場規模も前年比23.7%減の55兆2040億円と大幅に減少した。「動画鑑賞(レンタル、配信を含む)」が初の首位となったほか、「読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)」「音楽鑑賞(配信、CD、レコード、テープ、FMなど)」などの在宅レジャーが上位となった。前年首位の「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」は4位、2位だった「外食(日常的なものは除く)」は6位と順位を下げた。
 続けた方が良い習慣もあるのだろうが、根底にある欲求は簡単には消えない。2019年の余暇活動の首位首位だった「国内刊行旅行」に対する欲求はそのひとつで、高級な旅館やホテルの予約は好調を保っている。コトを通して通してモノが売れる。人との交流がモノ消費を生み出す。確実に世の中は、その方向に向かっている。そして、そこにビジネスチャンスが生まれる。
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「3・11」から一年 復旧への道遠し
2012.03.15
「3.11東日本大震災」から1年が経った。その直後、東北地方を襲った大津波も含め1000年に1度の大災害といわれている。日を重ね、あれから365日。復旧(復興ではない)は遅々として進んでいない。こんな時こそ国が、政府(政治)が先頭に立って、国民の命を、暮らしを守らなければならないが、むしろ、その政府という存在が復旧を遅らせているようにさえ思える。些細なことと思われようが、私が震災後、一番心に引っ掛かったのが、閣僚全員が防災服というのか、ジャンパー姿でテレビカメラの前に現れた時だ。恰好に気を取られている時ではないだろう。政治家がやるべきことを完全に履き違えている。あっ、またあの政党特有のパフォーマンスをやっているという、イヤな気持にさせられた。目立ちたがりの当時の首相、菅さんが直ちに福島原発の見学(視察ではない)に出かけ、これが初期対策の活動を遅らせたといわれている。1カ月ほど前、震災後に立ち上げた20幾つかの復旧に関係する委員会、検討会の中で議事録が残されていたのは3つだけと、新聞やテレビが報じていた。ほかは、きれいさっぱり何の記録も残されていないという。小は小学校のホームルームから、職場の会議、国会審議に至るまで、およそ会議と名の付くものは、何らかの形で記録に残すのが当然と考えてきた。国の難局打破のために、急を要するから召集された会議であるはずなのに、行われた痕跡すら残っていないことが、まず信じられない。会議そのものが茶話会程度の認識であったのか、不毛の内容のない議論になることを見越して、あえて議事録を作成しなかったのか、何も決まらなかったので税金の無駄遣いとの指摘を恐れて、のち議事録を破棄したのか、真相は薮の中だ。ともかく民主党政権というのは議論好きだ。議論のために議論をやる、結果はどうでもいいと思える。議事録がないという今回の事態は、いみじくもそのことを立証した形となった。その議事録が残っていないことを糊塗するためか、最初の震災対策会議の模様を、当時の出席者の記憶やメモを頼りに作成した文書が提出された。これがまた、お粗末極まるもので、今の政治家の難局への意識の低さが露呈した内容のものだ。当時の官房長官、枝野さんは原発のメルトダウンはないと断言していたが、すでにその時、メルトダウンの可能性を指摘する発言があったとされる。そのことを言及されるや、そんな発言はまったく記憶にない、忘れたとの言い逃れに終始している。4億円もの金の使い道どころか、あったことすら記憶にないと言い張る元代表と、いい勝負だ。復旧の道遠し。心が暗澹となる。.
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