第2254号 そこまでやってきた「女性活躍の時代」
2024.03.01
 今年も早いもので、もうすぐ3月を迎える。大阪天満宮の梅もほぼ咲きそろい、可憐な花びらが風にそよいでいる。その風情は、春が近いことを知らせてくれているようでもある。しかし、見た目の可憐さとは逆に、梅の枝は一直線にどこまでも伸び、道を塞ぐ。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」とはよく言ったもので、銀杏(いちょう)の木と同様、原始に近い生命力に溢れた木なのだ。
 さて、そんな2024年、昨年は新型コロナウィルスが収束し、世界経済、日本経済の両方で回復が見られた。しかし、消費者側に立つと国際的な原材料価格の上昇や円安の影響によって家計は大きな影響をうけており、中でも日常の必需品の価格上昇は、とくに女性の支出パターンに変化をもたらしている。コロナ禍で経験した健康への意識の高まりと同時に、価格に対するシビアさも同時に兼ね備えた、今を生きる消費者は「実」がとれる商品をよりお得に買うことに知恵を絞り、情報収集にも余念がない。また、一段と働く女性が増え、男女ともに育児家事に参加する社会になりつつある。とはいえ、女性の家事育児負担度は大きく、結婚出産育児という人生コース選択への躊躇や、選択した場合の妊活や子育て環境からの職場変更や自分にとっての働き方改革を推し進める女性が増加している。
 そんな中、女性に特化して研究を続ける「女性インサイト総研」では、女性をめぐる2024年の消費トレンドは、3つのS「節約(Savings)・安心(Safety)・安全(Security)」が選択ポイントとしている。経済が回復したとはいえ、消費者を取り巻く環境は生活しずらい状況へと向かっている。少しでも安く、しかし安心で、かつ安全であるモノやコトをしっかり目利きして選ぶシビアさは、2023年以上に強まっていく。そんな環境の中で心が病みそうになる状況を回避するために、外に出て、わくわく感を体験することを意識的に行うことを好んで行動する人も増えた。
 また、「自分の体は自分で守る・自分の家族も私が守る」という意識もコロナ禍以降、どんどん常態化しており、日常習慣がウェルネスであり、何を食べるか、選ぶかも自分の選択が自分の体を創ることを自覚した消費者へと変わっていくものと見られている。過去、女性の時代の到来といわれた時期もあったが、そんな声をよそに、現実にはますます男性中心の社会が形成されつつある。この現象を払拭し、あらゆる分野における女性の活躍が期待されれる。その端緒につく年となってほしいものだ。
time.png 2024.03.01 11:13 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2253号 どこまで続く「値上げ」問題
2024.02.15
 年明け後、大阪は暖冬予測が外れて、寒い毎日が続いている。先週の2月初めは雪がちらつく日もあった。寒暖に関係なく、今日もまた会社近くの天神橋筋商店街は多くの中国人観光客で賑わっている。というレベルではなく、満員電車一歩手前ぐらい、対面から来る人を避けきれない混雑ぶりだ。そんななか10日、3連休の初日に神戸・元町の中華街に行った。春節祭で蛇踊りなど賑やかな祭を楽しみ、神戸・元町名物の老祥紀の豚饅頭を買って帰った。
 折しも、中国でも2月10日、旧暦の正月にあたる「春節」を迎えた。17日までの8日間の連休中に、帰省や旅行でのべ90億人が移動すると予測されていて、経済が低迷する中で人々が移動し、日本にも経済効果があると期待されており、東京タワーが「春節」にあわせて赤くライトアップされるなど、各地でイベントが相次いでいる。このように、旅行や帰省で人々が移動し、それは経済の活性化にも大きく寄与しているという。日本への海外からの旅行者が増えた要因は別のところにもある。主要国と比べて日本はすでに物価が高いとは言えない状況にあり、例えばユニクロのフリースの価格。東京、ニューヨーク、ロンドン、上海、バンコクで比較すると東京が最安だという。コロナ以前、訪日客が大量に押し寄せ旅行産業が盛り上がった。訪日客が嬉々としてまとめ買いをしていた理由の一つは、そのコストパフォーマンスの高さにあった。「お買い得な国」「安い国」と見られていたのだ。
 こんな世の中の動きの中で、SNSやニュースで連日流れてくるのは「値上げ」に関する情報だ。最近になって、再び物価高の勢いが止まらない。2023年の消費者物価指数は、生鮮食品をのぞく総合指数が105・2となり、前年より3・1%上がった。上昇は2年連続。第2次石油危機の影響があった1982年以来、41年ぶりの伸びだった。足元では物価高の勢いは鈍っているが、家計は苦しい状態が続く。洗剤やトイレットペーパー、携帯電話の通信料など生活に欠かせないモノやサービスも軒並みアップした。生鮮食品をのぞく全522品目の約9割が上昇している。さらに、主要食品メーカー195社が今年2月に1626品目を値上げすると発表した。包材価格や物流費、人件費が上昇しており、食品メーカーは値上げで採算を確保するという。
 今後は物流費や人件費の上昇に対応した値上げが続く見通しで、物流業界ではトラック運転手の時間外労働が制限される「24年問題」が差し迫っている。物流費の大幅な上昇が見込まれている。
time.png 2024.02.15 11:11 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2252号 ハンドメイドの素晴らしさを訴求するイベント
2024.02.01
 今年も、2月の第27回手づくりフェアin九州(福岡市)で手づくり関連イベントがスタートする。各地のイベントのなかでも、九州フェアはステージイベントを中心に常に新しい企画を取り入れ、ハンドメイドの楽しさ、素晴らしさを訴求してきた。何より、地元の高校、服飾専門学校、女子短大の被服科などの教育機関を巻き込んでのショーなど、毎回、産学協同の成果を挙げている。 
 業界においては、1月13・14日、東京ビッグサイトで行われた「ハンドメイドインジャパンフェス冬2024」の開幕によって、今年の手づくり関連イベントがスタートした。この後、「手づくりフェアin九州」、「浜松ハンドメイドマルシェ」、「第48回2024日本ホビーショー」(4月25〜27日の3日間、東京ビッグサイト)へと続く。なかでも日本ホビーショーは、47年の歴史をもつ世界最大級のハンドメイド・ホビーの祭典。心豊かな暮らしにつながる商品やサービスを持つ出展者が一堂に集結。ハンドメイド情報を求める来場者はもちろん、ハンドメイドのトレンドや新たな作家・作品を探す企業も多く訪れるイベントとなっている。
 コロナ禍により、2019年から中止、延期が続いた手づくり関連イベントは、2022年その多くがウイズコロナの状況下で3年ぶりの開催となり、動員数の減少など大きな影響を受けた。
 わが国において、百貨店の催し会場以外で手づくり関連のイベントがはじめて開かれたのは、東京や大阪ではなく、京都だった。1979年(昭和54年)に京都市勧業館(現在のみやこめっせ)で開かれ、2日間で1万人を動員した。全国的にも、まったく初めてのことだったので、主催の京都装粧品裁縫雑貨協同組合も、何をどうしていいのか皆目わからない中での開催だった。小間割りもチョークで床にラインを引き、隣のブースとの境界も定かではない、夜店が立ち並ぶ光景が広がっていた。でも幕を開けると、開場前の勧業館前には長蛇の列ができ、入場制限しなければならない程の盛況だった。そして1980年代に入ってOSAKA手づくりフェア、日本ホビーショー、ハンドクラフトフェアinNAGOYAが次々にスタート。
 以後45年の歳月が流れたが、コロナ禍の時期を除いて途切れることなく開催されてきた。
 とりわけ、業界のイベントには、ハンドメイドを通して人が集うことの温かさ、楽しさ、そしてやさしさをアピールする力があり、多くの手づくりファンを魅了し続けてきた。展示会の持つパワーは業界を支えるひとつの柱となり、その価値はこれからもますます大きなものとなっている。
time.png 2024.02.01 10:58 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2251号 大きな成長を遂げる年「辰年」が巡ってきた
2024.01.15
 毎年のことながら、年の初めの元旦は家でゆっくりと過ごす。今年も、午前中に大阪天満宮への初詣でを済ませ、何をするでもなくゆっくりと家で寛いでいた。夕刻に差しかかる頃、前触れもなく部屋が揺れ始めた。左右にゆらゆら、揺りかごのように揺れる。立ち上がるでもなく、揺れに体を委ねる。結構、長い時が流れて揺れは収まった。テレビをつけると、震源地は北陸、震度7とテロップが流れる。「元日から地震か」という程度の認識だったが、のちのち大きな地震だとわかってくる。ともかく、元日と地震が頭のなかで結びつくのに時間がかかる。とりあえず町の様子を見るため外へ出る。車もほとんど走っておらず、静かな元日の風景が広がっているだけだった。
 少し波乱含みの年明けとなったが、今年2024年は一体どんな年になるのだろう。干支でいえば「辰」で、基本的にいい年になるという。辰は別の漢字で「竜」、「龍」とも書く架空の生き物である。十二支のなかで唯一、実在しない生き物が「辰」。実際の生き物ばかりの十二支になぜ「辰」が入ったのかその理由は諸説ある。中国では「龍」の漢字がワニの意味を持ち、最初はワニが十二支に入っていたことも一説とされている。
 辰は昔から神聖な生き物としても崇められ、現在も縁起がよいものといわれている。ちなみにスマートフォンの待ち受けを「昇り龍」にすると開運につながると、物識りの知人が言っていた。そんな縁起のよい辰の年は、陽の気が動き、万物が振動する年、活力旺盛になる年、大きな成長を遂げる年といわれている。
 ほかにも辰(龍)は権力や隆盛の象徴で出世、躍進などが期待できるという。2024年は甲辰(きのえたつ)。これは陰陽五行説で「甲」は草木の成長を表し、勢いが増すという意味を持つため、今年はこれまでの努力が実を結ぶ、願いが成就する年になりそう。ちなみに過去の辰年を振り返ってみると、1964年の東京オリンピック開催や東京モノレール開業、東海道新幹線開業、太平洋横断ケーブル開通、1976年の初代マイクロコンピューター発表など、新しい技術が実を結んだ年だった。これらを踏まえると、今年は最新技術を駆使した画期的なもの、サービスの登場が期待できる。
 2024年、日本経済はどうなるのか。ゆるやかな回復が続くという見方の一方で、人手不足問題、高齢化社会の影響、若者の職業選択の偏向、パンデミックが引き起こした急激な変化、労働時間の上限規制など法制度の変化により、あらゆる業種が従業員の不足に直面する年となりそうだ。
time.png 2024.01.15 10:56 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2249・50号 2023年も色々ありました
2024.01.01
 本原稿執筆時点で、今年も残すところあと10日余りとなった。新型コロナの「5類移行」にともない、4年ぶりという言葉があふれた1年でもあった。昨日(12月20日)の夜に乗ったタクシーの運転手さんによると、今年は忘年会帰りの客を乗せることが少ないという。コロナ禍以降、2次会、3次会が減り、終電に間に合わないという人がめっきり少なくなってしまったというのだ。そして今、若者の忘年会や新年会離れが進んでいる。1日一緒にいる人達と夜までつきあうのは御免蒙りたい、そんな人が増えている。というわけで、若者はてっきりそんな会を敬遠しているものと思いきや、案外そうでもないらしい。ひと頃、職場の行事なのに対価が支払われないのはナンセンスなどと言われたものだが、ある意識調査によると、忘年会に「参加したい」という人は20代で61.5%と、他の世代に比べて最も参加意欲が高いことが分かった。小欄はすでに4回をこなし、28日に最終忘年会が予定されている。
 さて、2024年の新年を迎えるにあたり、2023年を振り返ってみよう。政治や経済、ひいては国民の暮らしに大きな出来事や変化はなく、アフターコロナの静かな時が流れている。そんな中、あるテレビ局が、2023年に放映されたニュースの回数のランキングを発表した。
1位 ロシア・ウクライナ情勢  (時事)
2位 大谷翔平・異次元の活躍  (スポーツ)
3位 侍ジャパン・WBC制覇  (スポーツ)
4位 各地で記録的猛暑・大雨頻発  (時事)
5位 物価高による値上げ止まらず  (時事)
6位 イスラエル&ハマス武力衝突  (時事)
7位 新型コロナ5類引き下げ・平時  (時事)
8位 「ルフィ」広域強盗事件  (時事)
9位 台風6号&7号・影響長引く  (時事)
10位 北朝鮮・軍事行動強める  (時事)
11位 ジャニーズ事務所問題  (芸能)
 世界を見渡しても、局地的な紛争国を揺るがすような出来事はなく、何とも小粒なニュースが並ぶ。果たして2024年はどうか。予測困難な中、当たるも八卦、当たらぬも八卦。古来からのやり方で2024年を占ってみる。十干十二支でみると 2024年は甲辰(きのえたつ)の年。「甲」は、十干の一番最初の文字で、物事の「はじまり」を象徴し、草木が成長し勢いを増す様を表すともいわれる。「辰」の字にも成長の意味があり、年回りからいけば、成長が十分に期待できる年となる。ともあれ、2024年が穏やかで平和な年でありますようにと、心から願ってやまない。
time.png 2024.01.01 11:00 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column

- CafeLog -