第2241号 「値上げラッシュ」の中、秋が始まる
2023.09.01
 わが町にある天神橋筋商店街は今日も人で溢れ返っている。それもこれも中国人を筆頭に、アジア各国、欧米からのインバウンドが増えたからで、一瞬、どこの国にいるのか定かでないほどの人達が行き交っている。さぞかし商店街のお店も潤っていると思いきや、彼等はただ歩いているだけ、爆買いをしていた以前と違ってモノを買わなくなったという。食堂でも、子供連れの一家族で一人前、二人前の注文を平気でする。そんな人達をかき分け昼食に出ると、これがまた大変、2時頃まで、まずくて有名、地元の人ならお金をもらっても入らない店まで一杯になっている。まさに昼食難民と化すのだ。ともかく、大声で喋る、広がって歩く、売り物を触りまくるといったことも含め、この人たち、厄介な存在なのである。
 そんな中、9月の声を聞いて、値上げの秋がスタートする。今年の秋は原材料価格や物流費の高騰を受け、食品・サービスなど幅広い分野で値上げの動きが広がっている。原材料価格や物流費の高騰、円安などに直面する企業の値上げが止まらない状況が出始めている。その動きは食品・生活用品メーカーや外食チェーン、コンビニエンスストアなどに広がっている。昨秋に比べると食品の値上げ率は大きく、例年と比較しても引き続き「値上げラッシュ」といえる状況は続いている。
 今秋の値上げが、わが国の経済にどう影響していくのか。食品や日用品、外食の値上げが続いている。日経POS情報を分析すると、店頭価格も上昇傾向にある。原材料や物流費、エネルギー価格の上昇の影響が長引く一方、メーカーはコスト上昇分を十分に転嫁できておらず、今後も値上げが続きそうだ。今年7月の値上げは、「パン」が全食品分野で最多だった。品目数でパンが最多となるのは、同じく輸入小麦価格改定の影響でパンが一斉値上げとなった昨年7月以来、1年ぶりとなる。「加工食品」はパックごはんやレトルトカレーなどが中心に値上げが予定されるほか、「調味料」もめんつゆ製品やスパイス製品で値上げとなる。「レトルトカレー、食用油、紙おむつなどの商品から電気代、高速道路料金まで、身の回りで値上げが相次いでいる。原油高や原材料高に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻や円安も響いており、家計への影響は計り知れない。
 現実的な話はさておき、芸術の秋、食欲の秋、味覚の秋、ファッションの秋という言葉があるように、秋は楽しみが多い季節。四季がある国だからこそ感じる、暑い夏と寒い冬の間の束の間の時間を有意義に過ごしたいものだ。
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第2240号 長期休暇を有意義に過ごす
2023.08.15
 8月15日のお盆の日を迎えて、今年も平均6日間(8月11〜16日/11日は山の日で祝日)の夏期休暇がスタートする。ひと昔前はお盆の行事は7月に行われていた。ともあれ、東京や大阪の大都市圏では、帰省や行楽の高速道路におけるラッシュの模様がテレビに写し出される。どこにも出かける予定のない人は気の毒にと、溜飲を下げる。日本中、盛夏で最も暑い時期ではあるが、車を中心とした民族大移動が始まるのだ。
 夏の休暇の元となったのは、「薮入り」という風習にあり、奉公人が正月およびお盆の8月16日前後(当時は7月)に暇を許されて、都から地方の田舎に帰ることをから始まった。農村では奉公人だけでなく他家へ嫁いだ女性が里帰りする日でもあり、こうした風習は近世に一般化した。そして、令和の今もなお、長期休暇に形を変えて続いている。
 そして、今年もこの休みをレジャーにあてる人達も多い。レジャーの実態を探るべく、公益財団法人 日本生産性本部の余暇創研は、このほど「レジャー白書2023」の内容を公表した。本調査は、本年2〜3月にインターネットを通じて実施し、全国の15〜79歳男女、3,306人から有効回答を得た。今回の調査の主なポイントとして、仕事より余暇を重視する割合が年々増加傾向にあることを明らかにした。この調査で、まず仕事(勉強や家事を含む)と余暇のどちらを重視するかを尋ねたところ、63.9%の人が余暇を重視する傾向にあることがわかった。とくに「仕事よりも余暇の中に生きがいを求める」の回答率が2020年以降増加しているという。
 余暇活動の参加率は「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」が、2021年から10ポイント上昇して42.8%となり、2019年以来の1位となった。それでも、コロナ禍前の2019年の参加率の水準(54.3%)には戻っていない。また、「ドライブ」や「外食」など、外出をともなう種目に上昇傾向がみられる。一方で潜在需要は「海外旅行」が1位で、2021年1位の「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」の潜在需要は、参加率の上昇にともなって減少し、2位となった。「海外旅行」は潜在需要の減少幅が「国内観光旅行」と比べて小さいため1位に。
 かつて働き過ぎを先進国から指摘され、馬鹿正直に休みを増やし続けてきた日本。、それにともない、時間を楽しく使うレジャー大国ともいわれる国となり、今年の夏も楽しさに充ちた情景が繰り広げられる。
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第2239号 今年も「天神祭」がやってきた
2023.08.01
 今年の大阪の夏は暑い。連日33度を超えている。こんな環境下でも何の変わりもなく、普通に働いている国は日本くらいだろう。日本には四季があり、世界の中で温帯地方に属するとされるが、夏だけをとってみれば立派に熱帯地方だと思う。昨日、普段通りに会社で仕事をしていたら、一本、道路を隔てた天神橋筋商店街には、お神輿が練り歩き、元気な女の子が傘踊りで先導する。船渡御の前には、催太鼓で始まる神輿の大行列、陸渡御が祭りを盛り上げる。船渡御中に打ち上げられる奉納花火も華やか。さらに、ミス天神橋らが参加する天神祭ギャルみこしは、天神橋筋商店街の風物詩となっている。コロナ渦を経て4年ぶりの天神祭が始まったのだ。祇園祭の雅びな雰囲気と違って、とても賑やかでいかにも大阪らしい。7月25日の船渡御の前には、催太鼓で始まる神輿の大行列、陸渡御があり、船渡御の最中に打ち上げられる奉納花火も華やかで、今年は130万人が大川周辺を埋め尽くしたという。
 日本人が愛してやまないお祭り。ウィキペディアによると、「まつり」という言葉は「祀る」の名詞形で、本来は神を祀ること、またはその儀式を指すものである。この意味では、個人がそういった儀式に参加することも「まつり」であり、現在でも地鎮祭、祈願祭などの祭がそれにあたる。日本は古代において、祭祀を司る者と政治を司る者が一致した祭政一致の体制であったため、政治のことを政(まつりごと)とも呼ぶ。
 大阪天満宮の「天神祭」は、日本を代表する祭りの1つで、新型コロナウイルスの影響により一部の行事の中止や規模の縮小を余儀なくされていたが、ことしは4年ぶりに通常の規模で行われることになり、24日に開幕した。25日の本宮の夜は、大川に多くの船が行き交う船渡御が行われ、奉納花火があがった。 大川に映る篝火や提灯灯り、花火などの華麗な姿より火と水の祭典とも呼ばれている。他に鉾流神事、陸渡御などの神事が行われた。 24日の宵宮(宵宮祭・鉾流神事・催太鼓・獅子舞氏地巡行)、25日本宮(本宮祭・神霊移御・陸渡御・船渡御・奉納花火)へと続く。
 この天神祭には幾多の変遷があり、その存続が危ぶまれた時期もあったが、そのたびに困難を打開し、伝統を守り、盛り上げていったのは浪速っ子の土性骨と心意気によるものといえる。祭りには人々の心をひとつにする「何か」が存在し、それが1000年以上も続く源となり、天神祭は今も、そうした人々の熱いエネルギーに支えられ発展している。これからも長く続いていくことを願っている。
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第2238号 準備進む「大阪・関西万国博」
2023.07.15
 気の早い話だが、大阪・関西万博が2025年4月13日から大阪・夢洲(ゆめしま)で行われる。50年以上も前の1970年、千里丘陵で開かれた大阪万博には6420万人が押し寄せ、戦後25年を経た日本の復興ぶりと底力を見せつけた。当時、開催地の隣の豊中市に住んでいたことあって、自転車で何度も会場に足を運んだことが懐かしく思い出される。そして今回、世界に向けて、さらに飛躍、発展する日本の姿をアピールする。実は小欄は、1964年ニューヨークでの万国搏も見ており、2010年の上海万博も合わせると、次が4回目の万博となる。
 ところで、国際博覧会とは、「2カ国以上の国が参加した、公衆の教育を主たる目的とする催しであり、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段または人類の活動の一もしくは二以上の部門において達成された進歩、もしくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう」とある。国際博覧会の歴史は古く、1851年、ロンドンのハイドパークで開かれた「第1回ロンドン万国博覧会」で国際博覧会が幕を開ける。この万博は通称「大博覧会The Great Exhibition」とも呼ばれ、25カ国が参加した。当時はビクトリア女王の時代、女王の夫アルバート公の活躍で開催にこぎつけ、世界でも大変な評判になった。この1851年といえば日本では嘉永4年、ペリー来航の2年前になる。そして、日本が初めて国際博覧会に出展したのは、1867年(慶応3年)の第2回パリ万博からで、当時は国際博覧会が一種の流行となっており、1年のうちに何カ所も博覧会が開催されていた。それまで東洋の小国だった日本が世界にデビューするきっかけとなったのも、この国際博覧会だったのだ。
 第一次世界戦後には、現代の万博のように「テーマ」を持った万博が始まる。また、1928年には国際博覧会条約が署名され、「国際博覧会」はこの条約を基準に秩序をもって開催されることになった。そして、大阪で2度目の関西万博。大阪湾の人工島「夢洲」で、甲子園約100個分の390ヘクタールのうち、155ヘクタールが大阪万博の会場予定地になっている。会場整備費は計1250億円が見込まれている。開催テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。少子高齢化や貧困、エネルギーなどの課題を解決するため、世界から最先端技術や英知を集める「未来社会の実験場」との位置づけである。この趣旨は、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)にもつながる。大阪府民としても、万博の成功を心から願っている。
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第2227号 どこまで続く「値上げ」の流れ
2023.07.01
 「また値上げ 節約生活 もう音上げ」 第一生命保険は、今年も「サラっと一句!わたしの川柳コンクール(サラ川)」のベスト10を発表した。今回は物価高騰による食料品や日用品の相次ぐ値上げで、家計の苦しさを訴えた冒頭の句が幅広い支持を集めて1位となった。世の中で起きている値上げの動き。6月に入っても続いている。まずは食料品と飲み物。帝国データバンクがまとめた調査では、6月におよそ3600品目が値上がりしたという。去年の秋や今年の春と比べると、若干減ってはいるが、コストを販売価格に転嫁する動きは、まだまだ続いているのが現状だ。
 なかでも、家計支出でも大きな割合を占める電気料金。大手電力7社で6月の使用分から家庭向けの規制料金が値上げされた(関西電力・中部電力は料金据置き)さらに、サービスの分野でも、映画の鑑賞料金や引越し・家事代行サービスなどで、一部値上げに踏み切る動きが出ている。また、 政府が輸入した小麦を製粉会社などに売り渡す価格が4月に上がったことを受け、それを使った家庭向けの小麦粉や食パンなどが7月に値上がりするほか、 生乳の取引価格が引き上げられることを受け、牛乳やチーズの値上げに踏み切る企業も出てきている。
このように、さまざまな商品・サービスの値上がりが続く中、生活者は買い控えや節約などの工夫もしているが、実際の財布からのお金の出方には変化が生じているという。「意識や工夫はしつつも致し方ない」という部分が大きく、工夫をしようにもこれまでに値上がりした品目数の多さを考えると、「やりくり」の域を超えており、品目によっては再値上げ、再々値上げも続いている。
 今回の値上げの背景にあるのは、ロシアのウクライナ侵攻による、国際的な原材料価格の高騰にあるといわれる。昨年4月に消費者物価は、日銀の物価目標の2%を超えた。そして、円安も加わって、今年の1月には去年の同じ月と比べてプラス4.2%と、41年ぶりの上昇を見ている。その内訳は、電気代やガソリンなどのエネルギーの価格は、1年前と比べて下がった。一方、食料品が9%の上昇と高い水準となった。食用油などの値上がりが続いているほか、豆腐やお菓子、卵なども大幅に上がっている。食料品以外でも、エアコンや洗剤、さらに、ここへきて、サービスの分野でも値上がりが目立ってきている。
 庶民の暮らしを圧迫しつつある今回の値上げの流れ。知恵と工夫で乗り切っていく以外に道は残されていないように思われる。
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