第2247号 スポーツの力、恐るべし
2023.12.01
 10月の関西、とくに大阪は街全体が喜びで盛り上がった。プロ野球の阪神が優勝、おまけにオリックスまでがパリーグを制覇、二重の喜びに沸いた。恒例の道頓堀へのダイブは、警官120人を動員、警戒に当たったが、それでも37人が飛び込んだという。その執念は賞讃に値いする。川への飛び込みはあくまで自己責任の所行で、その行為を国家権力が制止するのは如何なものかと思う。日本が大人になりきれない過保護国家といわれる所以でもある。
 それはともかく、住まいから近くで、祝日ということもあり、2球団のリーグ優勝を祝うパレードを見るため淀屋橋に出かけた。午前中は、阪神が神戸市の三宮周辺、オリックスは大阪・御堂筋で行い、主催者の発表によると、神戸市に30万人、大阪に20万人のファンが詰めかけたという。小欄は、その余りの熱気に当てられて、パレードを見ることなく会社に戻った。野次馬根性が強く、何にでも興味を示す大阪の人達ならではの行動だといえる。そういえば、30年前の日本一のときもパレードは行われたが、盛り上がりもスケールも今回とは比べ物にならない小さいものだった。その年の日本は8月に日航ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落、地下鉄サリン事件など数々の凶悪犯罪を犯したオウム真理教事件など、世の中は騒然としていた
 プロ野球・阪神タイガースの18年ぶりのセ・リーグ優勝に関して、お金はどれぐらい動いたのか。それも大阪人のもうひとつの関心事となっている。関西大学の宮本勝浩名誉教授はによると、全国で969億円の経済効果が見込まれると試算している。宮本名誉教授は「2、3年おきの優勝ではファンが慣れて盛り上がりが少ない。今回は、待ちに待った優勝で、大きな盛り上がりが期待できる」と指摘している。内訳は、ファンの飲食代の増加が325億円、観客動員数の増加にともなう消費増が56億円、祝賀セールなどが40億円など。熱狂的ファンが多い関西地域だけで、全体の9割となる872億円の効果を推定。2003年の優勝時(1481億円、関西地域)には及ばないが、2005年(683億円)の優勝や今春の「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」での経済効果(654億円、全国)を上回る計算だ。
 野球に限らず、スポーツにより、多くの人が元気をもらうことで、日本がますます発展していくという効果も期待できる。スポーツの力、恐るべし。これからも、何度でもパレードを見たいものだ。
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