第2246号「世の中は「値上げラッシュ」
2023.11.15
 食欲の秋がやってきた。高過ぎて手が出ないが、天満市場には野菜コーナーの一番前に松茸が堂々と並んでいる。大きなものだと、一本1万円程もする。季節感を味わうため、永谷園の「松茸のお吸物」で我慢する。そんな秋を迎えて、世間には、値上げラッシュの風が吹き荒れている。慣れっこになってしまったのか、そんな由々しき事態にも、国民も怒らないし、マスコミもほとんど取り上げることはない。こんな状況にあっても、とくに高い上昇率が続く食品の値上げに対して消費者の反応は静かだ。
 小欄が大好きで一週間に一度は通うマクドナルド。このほど、そのマクドナルドが一部商品の値上げを行った。主力商品のビッグマックの価格が税込み450円から500円へと11%増の値上げとなった。ビッグマックの価格は昨年9月に390円から410円に、今年1月には410円から450円に値上げされているので、ビッグマックの価格は1年間で28%値上がりしたことになる。また、『日清食品』は、「カップヌードル」「どん兵衛」「チキンラーメン」などを昨年秋に値上げした。「カップヌードル」だと193円 が 214円にと、21円アップになっている。1971年に誕生した「カップヌードル」は当時100円だったが、時代と共に価格は上がり、今回は2019年からわずか3年での値上げになっている。
 ただし、日本における物価は平成時代からずっと安定推移してきた。主要国と比べても、日本は物価が高いとはいえない状況だ。実は食品メーカーなどでは、ステルス値上げと呼ばれる、値段を据え置きにしながら量を減らして実質的な値上げをするといったことが以前から繰り返されてきた。今回の値上げ発表は、こうしたステルス値上げではしのげなくなったからと見られる。
 たとえば、世界各地に店舗を展開しているユニクロ。その人気商品フリースの価格は、東京、ニューヨーク、ロンドン、上海、バンコクなどと比較しても、東京が最安だという。コロナ以前、訪日客が大量に押し寄せ旅行産業が盛り上がった。その訪日客がまとめ買いをしていた理由のひとつは、そのコストパフォーマンスの高さにあるという。「お買い得な国」「安い国」と見られているのだ。
 しかし、良い物価高は、景気の拡大と同調するもの。商品の値上げによって企業の売上高が増え、給料が上がり消費活動も活発になる。このサイクルが社会全体に回ると、景気が良くなることにつながる。そんな値上げであってほしい。
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