第2296号 「循環」が世の中を変える
2025.12.01
 最近よく耳にする言葉に「循環」という語彙がある。英語では「サーキュラーエコノミー」とも言われ、世界におけるトレンドにもなっている。「サーキュラーエコノミー」とは、直訳すると、「丸い経済」で、その名の通り、あらゆるものをぐるぐると循環させる経済のことを指す。私たちの行動も「ものを買う」「ものを使う」「資源ごとに分ける」「資源をまわす」。そして、その結果、生まれたものが「ものを買う」というように、ぐるぐると循環させていく、これが「循環型消費行動」と呼ばれている。
 つい先日も京都で「循環フェス」という名のイベントが開催され、若者を中心に多くの人で賑わった。サーキュラーエコノミーは、お金をかけて捨てていたものが、あらたな価値になる経済活動のことで、産業イノベーションや、地球環境への貢献にもつながるものとして注目を集め始めている。実はこの何気ない買い物やごみの分別が、経済をまわす力になっているという。
 このフェスで提唱されているのは、「長く使えるモノを買う」「丈夫で壊れにくいモノや修理可能なモノを選んで買う」「再生材でできたモノを買う」「レンタル・シェアリングサービスを選ぶ」など。中でも再生材は、新しい資源を使わずに済むことにつながる。さらに、モノを買わずに借りたり、みんなで共有すると、一人ひとりの持つ物が減り、資源を大切に使える。捨てないものを買うことでごみが減り、財布にもやさしい結果にもつながっていく。
 洗って、分解して、素材ごとに分別する。そのひと手間が、それぞれの材料を再利用しやすい形に変える大切なポイントになる。店舗や企業の回収ボックスを利用するなど、正しく循環されれば、新しいモノに生まれ変わる。丁寧に長く使うこと、
シンプルだが、実はこれがいちばん効果的で、新しいモノを買う回数が減るだけで、ごみもぐっと減る。さらにリメイクやアップサイクルなどの工夫を楽しむことも効果的。定期的にメンテナンスする。壊れたら直して使い続ける。すぐに捨てないで、直せる方法がないか調べてみる。世の中には、意外と直せるモノが多い。リペアサービスを利用する。リサイクルショップやフリマアプリを使うetc…。
 使わなくなったモノは売る。これは、環境的・経済的にいいことなのはもちろん、捨てていたものが誰かの役に立つことができるるかもしれない。正しい循環を実行していくだけで、世の中が今よりもっと住みやすくなるように思う。
time.png 2025.12.01 11:07 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2295号 いつまで続く「値上げラッシュ」
2025.11.15
 日一日、秋が深まっている。何でも美味しい秋だが、とりわけ今年は秋刀魚(さんま)が豊漁で安く売られているという。大ぶりでよく脂の乗ったものが一尾220円ほどというから嬉しい限りだ。その昔、秋刀魚を焼くのは子どもの役目で、庭にかんてき(関西弁で七輪のこと)を持ち出して団扇で炭火を熾して焼き上げたものだ。旬の秋刀魚はその当時、とても安かったためか、夕食の食卓には連日、秋刀魚がのっていた。
 さて、今年の秋は値上げの秋でもある。2024年秋と比べて品目数が増加し、原材料高に加え、物流費・人件費・エネルギーコストなど国内要因による「値上げラッシュ」が続いている。10月は半年ぶりの3000品目超えとなり、通年でも2万品目超えが見込まれ、値上げが長期化する傾向にあるという。今年秋の値上げの特徴は、品目数の増加: にあり、2024年秋を上回り、10月は半年ぶりに3000品目を超えた。また、値上げ品目数は2022年以来の2万品目超えが確実となり、値上げが本格化した2022年に迫る勢いとなっている。
 値上げ要因としては、 円安などの外的要因から、賃上げや物流費高騰など国内の内的要因による値上げが主となり、粘着性の高い物価上昇となっている。一方で、 恒常的なコスト増に対応するための値上げ戦略へと移行する動きが見られ、値上げが長期化する可能性が高まっている。具体的な値上げ動向を見ると、10月は半年ぶりの値上げラッシュとなり、3024品目が値上げされた。分野別では、 焼酎、リキュール、日本酒などの「酒類・飲料」が最多の2262品目となっている。そして 2025年の値上げは2万品目を超え、前年の実績を上回った。分野別では、「調味料」が最も多く、次いで「酒類・飲料」だった。
 今後の見通しとしては、2026年の値上げ予定品目数は、前年同時期時点より低水準で、値上げペースが鈍化する可能性がある。 ただし、郵便料金値上げなど、コスト上昇圧力は継続しており、今後も一部で値上げラッシュが続く。恒常的なコスト増を想定した値上げ戦略への移行がみられ、値上げは長期にわたって継続する可能性が高い。
 2026年の値上げ予定品目数は、10月31日までの判明分で500品目を超えるものの、前年同時期時点で判明した2025年実施予定の値上げ品目数(1250品目)を下回る水準で推移している。、現時点では値上げペースは今年に比べて鈍化する可能性がある。総じて、値下げや価格据え置きを維持可能な好材料には乏しく、2026年も粘着的な値上げが続く可能性がある。
time.png 2025.11.15 10:01 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2294号 コスプレが主役の「ハロウイン」
2025.11.01
 日本列島、秋真っ盛りである。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋、睡眠の秋、紅葉の秋……何をするにも、打ってつけの季節がやってきた。そして10月といえば、お祭りのシーズンでもある。収穫を祝って全国各地で祭礼が行われる。最近では「ハロウィン」が秋のお祭りの最大イベントになっている。日本のお祭りといえば、「祇園祭」「天神祭」「神田祭」が有名だが、どれも地域限定で、国を上げてのイベントではない。
 10月に入れば、日本の大都市はもうハロウィン一色となる。日本で初めてハロウィンを取り入れたのは、1970年代、キデイランド原宿店であるといわれている。その後、1983年には、キデイランド原宿店が、ハロウィン商品の販売促進のために、ハロウィンパレードを行った。そして、ハロウィンの認知度が一気に上昇したきっかけは、1997年に東京ディズニーランドで開かれた「ディズニー・ハッピー・ハロウィン」の仮装イベントだと言われている。それ以来、東京ディズニーリゾートでは、ハロウィンが秋の恒例イベントとなっている。その後2000年代後半には、菓子メーカーがハロウィンに着目し、ハロウィン商品を毎年販売するようになり、バラエティショップ等では仮装用品の販売が始まるなど、多方面からハロウィンが急速に広まって行った。今や、ハロウィンは日本で一番成功したお祭りとなったのである。
 ハロウィンの起源は、アイルランドやスコットランド、古代ケルト人のドイルドの信仰だと言われている。ケルト人にとって1年の終わりが10月31日。この日には、秋の収穫を祝うとともに、この世と霊界を自由に行き来できる時期であり、死者の霊が家族を訪ねてくると信じられていた。この時に悪霊も一緒に来ると考えられており、不気味な仮装で悪霊から身を隠し、魔よけのために焚火をした。このように、元々は宗教的な祭りからスタートしているが、現在、アメリカなどでは宗教的な意味合いはほとんどなく、民間行事のひとつとなっている。
 とくに仮装については、もともとコスプレ文化に馴染みがあった日本では親しみやすく、「悪霊から身を隠すための仮装」の範囲を大きく超えて、何でもござれのコスプレとして、独自の方向で進化している。日本記念日協会によると、日本における2024年の「ハロウィン」の市場規模は1300億円にものぼると推計されている。「クリスマス」が6,000億とも7,000億ともいわれる大きな市場規模を誇り、「ハロウィン」はそれに次ぐイベントへの成長を遂げている。
time.png 2025.11.01 09:59 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2293号 本当の「女性の時代」がやってきた
2025.10.15
 初めて女性の自民党総裁が誕生した。高市早苗氏は10月に開かれる臨時国会で日本史上初の女性首相に就く見込みだ。政治と無縁のサラリーマン家庭で育ち、サッチャー元英首相に憧れた保守の論客が「ガラスの天井」を破った。自民党の新総裁に選ばれた高市早苗氏は1961年奈良県に生まれ、現在64歳。若い頃はバイクを乗り回し、神戸大学時代は軽音楽部に入り、ヘビーメタルバンドでドラムを担当していた。大学を卒業すると、松下政経塾に入塾。そして、アメリカ議会のスタッフを経て日本に帰国するとテレビのキャスターとしても活躍し、フジテレビの朝のワイドショーの番組キャスターを務めていた。
 政界進出は1993年の衆議院選挙で、無所属で出馬し、初当選した。世界では、2005年にドイツ初の女性首相となったアンゲラ・メルケル首相,韓国初の女性首相ハン・ミョンスク氏など,近年,女性の国家リーダーが次々に誕生している。現職の国家リーダーとしては,フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領,フィリピンのアロヨ大統領,アイルランドのメアリー・マッカリース大統領,2006年にチリで初の女性大統領に就任したミチェル・バチェレ・ヘリア大統領が活躍している。この他にも,過去を振り返れば,英国のマーガレット・サッチャー首相やフィリピンのコラソン・アキノ大統領など,社会に大きな影響を与えた数多くの女性首相・大統領たちが歴史に名を残している。アイルランドやニュージーランド,フィリピンなど,すでに複数の女性首相・大統領を輩出している国もあり,世界的に見ると,政治分野での頂点である国家の首相・大統領にも女性の参画が進んでいる。
 今回の高市氏の宰相就任を待つまでもなく、わが国における近年の女性の活躍は目覚ましいものがある。政治の世界だけでなく、2024年には企業における女性の管理職比率は30%にまで増えた。ただし、男性社会が続いてきたアジア諸国(タイ、マレーシア、ベトナム、中国、インドネシア)に比べてもその比率が低いのが現状。世界ではこのような女性の企業内でのステップアップのみならず、起業を目指す女性も増えている。タイやシンガポールでは、女性起業家の方が男性起業家より多いという。
 女性の方が物事に対して柔軟に対応する力があり、チーム力、コミュニケーション力も高いことから、女性起業家は今後ますます増えてくるものと見られている。本格的な「女性の時代」到来がそこまでやってきている。
time.png 2025.10.15 10:36 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2292号 10年間で3割以上減っている「街の本屋さん」
2025.10.01
 「暑さ、寒さも彼岸まで」とは良く言ったもので、朝夕めっきり涼しくなり、凌ぎやすくなった。そんな中、テレビを一切見なくなって半年以上になる。世の中のことは新聞とラジオで間に合わせている。そして四季のなかで、一番好きな読書の秋の到来である。自然に本屋に足が向く。
 その書店が今、大ピンチに陥っているという。インターネット、スマホ、SNSなど、デジタルの荒波が押し寄せ、「街の本屋さん」が次から次へと閉店している。日本出版インフラセンターによると、書店の2023年度の総店舗数は全国1万918店で、10年前の1万5602店から3割以上減った。23年度の閉店数は614店で新規開店は92店と、減少に歯止めはかかっていない。「書店のない市区町村」が24年8月末時点で全国の27.9%に及んでいる。そして、この書店激減の背景には、売り上げ不振がある。
 出版科学研究所によると、日本で紙の出版物(本と雑誌)の売り上げは1996年に2兆6564億円とピークに達し、そこから下降の一途をたどっている。2023年には1兆612億円まで落ち込んだ。とりわけ目立つのが、雑誌の落ち込みで、2022年の売り上げ(週刊誌、月刊誌、コミックス、ムック)は4418億円と、ピークだった1997年の3割にも満たない。
 関連して「読書離れ」を物語る数字もある。文化庁の2023年度「国語に関する世論調査」では、1カ月に本を1冊も「読まない」と答えた人が62.6%と、5年前の前回調査を15.3ポイント上回り、初めて6割を超えた。読書量が以前より「減った」と答えた人も69.1%。減った理由を尋ねたところ「情報機器(スマホやタブレット端末など)で時間が取られる」が43.6%と、最も多かった。
 このように、紙の出版物の市場が縮小し続けてきた原因は、社会全体のデジタル化に尽きる。情報収集の手段が多様化し、余暇の時間をインターネットやSNSが奪っているのだ。出版物の市場のピークだった1996年は、ネットの普及が一気に進んだウィンドウズ95の発売翌年に当たり、そこから下降の一途をたどる。人間が健全に成長していくうえで、街で本が手軽に買える環境は貴重で、書店が減れば日本人の知的レベルが低下しかねない。出版文化の多様性を守ることが大切だといえる。本屋が「文化なのだから経営を助けて」といった声を上げるのは甘えでしかない。小売業の一形態である以上、苦しい局面では自力で活路を探っていくしかない。何とかこの事態を乗り切ってほしいと、切に願う。
time.png 2025.10.01 11:12 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column

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