第2279号 「サステナブル消費」の時代へ
2025.03.15
コロナ禍以降、旅行や出張も含めた遠出の外出をしなくなり、住まいと会社の往復のみの生活を送っている。平凡で刺激に乏しい毎日である。そして、モノも買わなくなった。同年代の知人や友人も皆同じ暮らしのようで、出会えば退屈な日々を嘆くことしきりである。お金を遣わなくなったから、日本経済にもいささかの貢献もしていないことになる。自分のことを消費者なんて、おこがましい言葉を使えなくなってしまった。
ところで今、世の中はSDGs の時代なんだそうである。貧困や飢餓、環境破壊や気候変動など世界はかつてないほどの深刻な問題に直面しており、SDGs はこうした様々な問題を解決し、持続可能な社会を実現するため、「誰一人取り残さない」という理念のもと、世界中の人々が話し合って取り決めた、2030 年までに達成すべき目標のことである。
そんな中で登場したのが「エシカル消費」という新しい言葉である。「エシカル(ethical)」とは、直訳すると「倫理的な」という意味で、消費者庁によると、消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことと規定している。エシカル消費は、人や社会、環境、地域などに配慮した消費行動であり、これまで経済を最優先にしてきた消費行動は、気候変動や生物多様性の損失など多くの問題を生み出してきた。その反省に立ち、エシカル消費は、自分だけでなく周りの人々や環境がよりよくなるように考えた消費行動であり、安心・安全、品質、価格に次ぐ第4の尺度ともいわれ、持続可能な消費のひとつのモノサシとして注目されるようになった。
これまで環境問題に対すると取り組みとして「エコ」があったが、「エシカル」は環境だけでなく、貧困、児童労働、福祉、食品ロス、生物多様性の損失、地域の課題といった、社会全体に関わる問題を、倫理的な消費行動によって解決していこうとする点が特徴となっている。
一方で「サステナブル消費」という言葉も生まれた。「地球環境に配慮した消費行動」を意味し、SDGsの浸透とともに生活者の意識が高まり、地球環境に配慮した消費を心がける生活者が増えてきている。地球環境に配慮した無農薬野菜を購入したり、レジ袋を購入せずマイバッグを活用するなど、サステナブル消費を意識的に取り入れる生活者が増えている。
企業にとっても、生活者のサステナブル消費をサポートするような製品・サービスの開発や提供が望まれている。
ところで今、世の中はSDGs の時代なんだそうである。貧困や飢餓、環境破壊や気候変動など世界はかつてないほどの深刻な問題に直面しており、SDGs はこうした様々な問題を解決し、持続可能な社会を実現するため、「誰一人取り残さない」という理念のもと、世界中の人々が話し合って取り決めた、2030 年までに達成すべき目標のことである。
そんな中で登場したのが「エシカル消費」という新しい言葉である。「エシカル(ethical)」とは、直訳すると「倫理的な」という意味で、消費者庁によると、消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことと規定している。エシカル消費は、人や社会、環境、地域などに配慮した消費行動であり、これまで経済を最優先にしてきた消費行動は、気候変動や生物多様性の損失など多くの問題を生み出してきた。その反省に立ち、エシカル消費は、自分だけでなく周りの人々や環境がよりよくなるように考えた消費行動であり、安心・安全、品質、価格に次ぐ第4の尺度ともいわれ、持続可能な消費のひとつのモノサシとして注目されるようになった。
これまで環境問題に対すると取り組みとして「エコ」があったが、「エシカル」は環境だけでなく、貧困、児童労働、福祉、食品ロス、生物多様性の損失、地域の課題といった、社会全体に関わる問題を、倫理的な消費行動によって解決していこうとする点が特徴となっている。
一方で「サステナブル消費」という言葉も生まれた。「地球環境に配慮した消費行動」を意味し、SDGsの浸透とともに生活者の意識が高まり、地球環境に配慮した消費を心がける生活者が増えてきている。地球環境に配慮した無農薬野菜を購入したり、レジ袋を購入せずマイバッグを活用するなど、サステナブル消費を意識的に取り入れる生活者が増えている。
企業にとっても、生活者のサステナブル消費をサポートするような製品・サービスの開発や提供が望まれている。
第2278号 まだまだ続く値上げラッシュ
2025.03.01
今、SNSやニュースでは、値上げに関する最新情報が連日流れてくる。そして、その内容はとても不安になるものばかりで、先行き不安にかられる。
日本経済は現在、長期にわたる物価上昇局面に直面している。多くの国民が「なぜ物価が高くなるのか」「値上げラッシュはいつまで続くのか」といった疑問を抱えている状況にある。2025年は春先まで、多くの商品で値上げが予定されている。1月のパン製品、2~3月の加工食品、そして4月の飲料などの日常的に消費される商品が中心となっている。
値上げの要因としては、「原材料高(94.6%)」、「物流費(89.9%)」、「包装・資材(63.4%)」となった。「物流費(89.9%)」と「人件費(47.9%)」は前年比約20ポイント増となっており、ドライバーの時間外労働規制と最低賃金引き上げが影響したと考えられる。この値上げラッシュの背景には、昨今のさまざまな要因が絡み合った原材料の物価高騰がある。地球規模の気候変動、ロシアのウクライナ侵攻・中東紛争による穀物や資源価格の高騰、急激な円安の進行などが重なり、企業のコスト増加に拍車をかけている。
同時に物価の高騰が続いている。東京23区の昨年9月の消費者物価指数では、2023年、2024年の同じ月と比べコシヒカリを除く「うるち米」が42%、輸入の「牛肉」が14.7%、「トマト」が12.7%上昇している。さらに民間の調査会社のまとめによると、昨秋に値上げされた食品は、2024年度中で最も多い結果となった。
2025年の1月から4月までに値上げされる食品は、4カ月連続で1000品目を超え、6121品目に上ることが民間のまとめで分かった。
品目別では、「加工食品」が2121品目と全体のおよそ3割を占めて最も多く、「酒類・飲料」が1834品目、「パン」が1227品目と続く。今年1月から、昨年の同じ時期に比べて値上げ品目が500以上多くなる見通しで、このペースが続けば、今年、1年間に値上げされる品目数は、昨年1年間に値上げされた品目数を上回る可能性があると指摘されている。
業界商品も値上げに踏み切るところが散見されるが、需要そのものが底堅く動いていることから、売れ行きへの影響は少ないと見られている。
最近では、消費者の間で値上げで買い控えをしたり低い価格帯の商品を求めたりする動きが見られるようになっていることから、メーカーの間では価格を据え置いて量を減らすなど、価格の引き上げに慎重な姿勢もみられるとしている。
日本経済は現在、長期にわたる物価上昇局面に直面している。多くの国民が「なぜ物価が高くなるのか」「値上げラッシュはいつまで続くのか」といった疑問を抱えている状況にある。2025年は春先まで、多くの商品で値上げが予定されている。1月のパン製品、2~3月の加工食品、そして4月の飲料などの日常的に消費される商品が中心となっている。
値上げの要因としては、「原材料高(94.6%)」、「物流費(89.9%)」、「包装・資材(63.4%)」となった。「物流費(89.9%)」と「人件費(47.9%)」は前年比約20ポイント増となっており、ドライバーの時間外労働規制と最低賃金引き上げが影響したと考えられる。この値上げラッシュの背景には、昨今のさまざまな要因が絡み合った原材料の物価高騰がある。地球規模の気候変動、ロシアのウクライナ侵攻・中東紛争による穀物や資源価格の高騰、急激な円安の進行などが重なり、企業のコスト増加に拍車をかけている。
同時に物価の高騰が続いている。東京23区の昨年9月の消費者物価指数では、2023年、2024年の同じ月と比べコシヒカリを除く「うるち米」が42%、輸入の「牛肉」が14.7%、「トマト」が12.7%上昇している。さらに民間の調査会社のまとめによると、昨秋に値上げされた食品は、2024年度中で最も多い結果となった。
2025年の1月から4月までに値上げされる食品は、4カ月連続で1000品目を超え、6121品目に上ることが民間のまとめで分かった。
品目別では、「加工食品」が2121品目と全体のおよそ3割を占めて最も多く、「酒類・飲料」が1834品目、「パン」が1227品目と続く。今年1月から、昨年の同じ時期に比べて値上げ品目が500以上多くなる見通しで、このペースが続けば、今年、1年間に値上げされる品目数は、昨年1年間に値上げされた品目数を上回る可能性があると指摘されている。
業界商品も値上げに踏み切るところが散見されるが、需要そのものが底堅く動いていることから、売れ行きへの影響は少ないと見られている。
最近では、消費者の間で値上げで買い控えをしたり低い価格帯の商品を求めたりする動きが見られるようになっていることから、メーカーの間では価格を据え置いて量を減らすなど、価格の引き上げに慎重な姿勢もみられるとしている。
第2277号 おもてなしの心でインバウンド受け入れる
2025.02.15
本日(2月10日)、大阪は大寒波も去って穏やかな日和となっている。昼飯を食べに天神橋筋商店街に向かった。2日ぶりの商店街は人で溢れ返っている。中国や韓国などの東アジアからのインバウンドの人達で賑わっていた。ただし、お店の人によると、ほとんど買物はしないという。買物はキタやミナミの百貨店ですませるらしい。このインバウンドに関して、「大阪観光局」は1月28日に、2024年に大阪府を訪れた訪日外国人数の推計を1463万9000人と発表した。2023年(994万人)比で47%増え、新型コロナウイルス禍前の2019年(約1231万人)も19%上回り、過去最高を更新した。国・地域別では東アジアからの来訪が全体の6割以上を占めた。19年に比べて韓国が64%増の264万3000人、台湾は29%増の164万4000人だった。中国(382万6000人)は19年の68%の水準だが、前年比では3倍だった。関西国際空港との直行便数が回復したことが大きな要因とみられる。欧米圏からの来訪者数も伸びている。19年比で米国が2.2倍の108万7000人、カナダが92%増の29万9000人、ドイツは2倍の17万3000人だった。日本政府は2025年のインバウンド数の目標を1600万人と設定した。中国人渡航者に対するビザ発給要件の緩和が実現した場合の増加も加味し、従来より100万人分上方修正した。同時に発表された、日本における2024年12月の訪日外客数は348万9800人となり、前年同月比では27.6%増、2019年同月比では38.1%増で、過去最高であった2024年10月の331万2193人を上回り、単月過去最高を記録した。また、2024年の年間訪日外客数は3686万9900人で、前年比では47.1%増、2019年比では15.6%増と、過去最高であった2019年の3188万2049人を約500万人上回り、年間過去最高を更新した。インバウンド客が増えると、トラブルも多くなる。日本は他人に迷惑をかけないことを非常に重んじる国で、小さな頃から「周りの人に迷惑をかけてはいけない」としつけられる。だから、自己中心的な迷惑行為に強い嫌悪感を覚える人が多い。もっとも、外国人が日本人よりルールやマナーを守る意識が低いわけではない。ただ一方で、ルールを守らない人がいるのも事実で、それも度を超えた迷惑行為をする人がいるため、「インバウンド客は困り者が多い」というイメージがついてしまっている。だが、本当に悪質な迷惑外国人は、全体の一部である。ともあれ、日本人の持つ「おもてなし」の心でインバウンドを迎え入れ、素晴らしい印象を残して帰国してもらいたいものだ。
第2276号 「かぎ針編み」の人気が急上昇
2025.02.01
今、若者を中心に“編み物ブーム”がやってきているという。手芸店や100円ショップでは、毛糸が品薄になっている。というより、毛糸が姿を消してしまった売場も相次いでいる。しかも、これまで編み物の中心ユーザーだった年配女性から、学生も含めて若い層がせっせと編針を動かしているというのだ。それもかぎ針が主役で、「かぎ針編みブーム」と言った方がよいのかも知れない。
この編み物ブームの火付け役と言われているのが5人組ガールズグループ・LE SSERAFIM(ルセラフィム)のサクラ(SAKURA)。編んだものはたびたび自身のSNSで公開しており、ステージ衣装にも自ら編んだトップスを着用するほど。自作ニット帽子をTWICEメンバーたちにプレゼントし、モモ(MOMO)は自身のInstagramで「かわちすぎる帽子」と着用画像をアップしている。
以前の手編みブームが自然発生的なものだったのに対し、今回は明確に仕掛人がいるのだ。編物初心者でも気軽に始められて、ちょっとした時間にも手軽に楽しめることで人気の「かぎ針編み」。コロナ禍で、多くの人が外出自粛を迫られ、自宅で手軽に楽しめる趣味として編み物を始める人が相次いだ。とくに、編物初心者でも気軽に始められて、手軽に楽しめる「かぎ針編み」の人気が急上昇した。そして、この動きを後押ししているのが芸能界での編物ブームで、編物にハマる人が続出。タレントの高畑充希は編みぐるみを披露し、山之内すずは自身が編んだセーターやカーディガンを愛用。サクラのみならず、芸能人のさまざまな手編みアイテムを見て真似する人も増えており、これら芸能人は発信力も強く、今回の編物ブームを強く後押ししている。さらに、手づくりでは「推しのぬいぐるみ=推しぬい」に合う洋服やグッズを手作りすることも流行している。ぬいぐるみにかわいい洋服を着せたり、ヘアアクセサリーをつけたりするが、ここでも編物が流行っていて、ぬいぐるみの帽子なども作られている。また、推し活に欠かせない「うちわカバー」も編み物で作る人も増えている。今まで編物をするとなると、本をみて静止画だけでしかやり方を判断できなかったが、TikTokなどの動画でHow toを見ながら、今やっていることを目の前でお手本を見せてくれるというのが大きい。一方、この動きにともない、『NHKすてきにハンドメイドセレクション かぎ針編みの冬帽子、ときどき小物』も、秋以降の 売れ行きが好調で増刷が決まった。かぎ針編みシーズンの今、かぎ針編みを始めてみたい人にぴったりの一冊となっている。今回の編物ブーム、さらに拡大しそうな勢いを見せている。
この編み物ブームの火付け役と言われているのが5人組ガールズグループ・LE SSERAFIM(ルセラフィム)のサクラ(SAKURA)。編んだものはたびたび自身のSNSで公開しており、ステージ衣装にも自ら編んだトップスを着用するほど。自作ニット帽子をTWICEメンバーたちにプレゼントし、モモ(MOMO)は自身のInstagramで「かわちすぎる帽子」と着用画像をアップしている。
以前の手編みブームが自然発生的なものだったのに対し、今回は明確に仕掛人がいるのだ。編物初心者でも気軽に始められて、ちょっとした時間にも手軽に楽しめることで人気の「かぎ針編み」。コロナ禍で、多くの人が外出自粛を迫られ、自宅で手軽に楽しめる趣味として編み物を始める人が相次いだ。とくに、編物初心者でも気軽に始められて、手軽に楽しめる「かぎ針編み」の人気が急上昇した。そして、この動きを後押ししているのが芸能界での編物ブームで、編物にハマる人が続出。タレントの高畑充希は編みぐるみを披露し、山之内すずは自身が編んだセーターやカーディガンを愛用。サクラのみならず、芸能人のさまざまな手編みアイテムを見て真似する人も増えており、これら芸能人は発信力も強く、今回の編物ブームを強く後押ししている。さらに、手づくりでは「推しのぬいぐるみ=推しぬい」に合う洋服やグッズを手作りすることも流行している。ぬいぐるみにかわいい洋服を着せたり、ヘアアクセサリーをつけたりするが、ここでも編物が流行っていて、ぬいぐるみの帽子なども作られている。また、推し活に欠かせない「うちわカバー」も編み物で作る人も増えている。今まで編物をするとなると、本をみて静止画だけでしかやり方を判断できなかったが、TikTokなどの動画でHow toを見ながら、今やっていることを目の前でお手本を見せてくれるというのが大きい。一方、この動きにともない、『NHKすてきにハンドメイドセレクション かぎ針編みの冬帽子、ときどき小物』も、秋以降の 売れ行きが好調で増刷が決まった。かぎ針編みシーズンの今、かぎ針編みを始めてみたい人にぴったりの一冊となっている。今回の編物ブーム、さらに拡大しそうな勢いを見せている。
第2275号 消費の変化に対応していく一年に
2025.01.15
2025年、日本は穏やかな清々しい空気の下での年明けとなった。今年は「巳年」で、さらには周期の干支の「乙巳(きのとみ)」と言われる年に当たる。干支は「十干」と「十二支」を組み合わせたもののこと指す。そして今年は、十干の「乙(きのと)」と十二支の「巳(み)」が組み合わさった「乙巳(きのと・み)」でもある。蛇は、「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年」でもある。乙(きのと)は、「木」の要素を持ち、草木がしなやかに伸びる様子や横へと広がっていく意味を持ち、巳(み・へび)は、神様の使いとして大切にされてきた動物で、脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルともされている。
そんな2025年。政治・経済とも大きな波乱なく平穏な中でのスタートとなった。国民の暮らしの基本となる消費生活も平穏に過ごせている。最近の消費動向調査によると、消費金額の増加が見られるものの、その主な要因は物価高騰にあることが明らかになっている。とくに食料品や日用品などの生活必需品において、半数が物価上昇を消費増加の理由として挙げている。消費者の価値観も変化しており、約3割が「節約と贅沢のメリハリをつける」「コストパフォーマンスを重視する」と回答している。注目すべきは、この傾向が世帯年収600万円以上の高所得層でも顕著になってきている点にある。若年層では貯蓄・投資志向が強く、不透明な将来への備えを重視する傾向が見られる。
このような状況下で、消費者の購買行動に関しては経済的メリットを重視する傾向が強まっており、デジタル化の進展により、消費者の購買行動は大きく変化してきた。2000年代にはインターネットの一般化によって、消費者は自ら情報を検索し、商品評価を共有できるようになり、双方向的なコミュニケーションが生まれた。2010年代のスマートフォンとSNSの普及は、さらなる変革をもたらし、SNSでの共感や口コミが購買行動の重要な要因となり、企業のマーケティングも活発化した。近年では、ECサイトでの突発的な購入を示す「パルス型消費」や、フリマアプリでの転売を前提とした「SAUSE」など、新たな消費行動も出現している。
今、消費者の購買行動は一段と多様化・複雑化しているが、企業には消費者との関係性構築がより一層重要になってきており、「消費」の形も大きく変化している。国内の企業、商店にとってもこの消費の変化への対応がさらに強まる一年となりそうだ。
そんな2025年。政治・経済とも大きな波乱なく平穏な中でのスタートとなった。国民の暮らしの基本となる消費生活も平穏に過ごせている。最近の消費動向調査によると、消費金額の増加が見られるものの、その主な要因は物価高騰にあることが明らかになっている。とくに食料品や日用品などの生活必需品において、半数が物価上昇を消費増加の理由として挙げている。消費者の価値観も変化しており、約3割が「節約と贅沢のメリハリをつける」「コストパフォーマンスを重視する」と回答している。注目すべきは、この傾向が世帯年収600万円以上の高所得層でも顕著になってきている点にある。若年層では貯蓄・投資志向が強く、不透明な将来への備えを重視する傾向が見られる。
このような状況下で、消費者の購買行動に関しては経済的メリットを重視する傾向が強まっており、デジタル化の進展により、消費者の購買行動は大きく変化してきた。2000年代にはインターネットの一般化によって、消費者は自ら情報を検索し、商品評価を共有できるようになり、双方向的なコミュニケーションが生まれた。2010年代のスマートフォンとSNSの普及は、さらなる変革をもたらし、SNSでの共感や口コミが購買行動の重要な要因となり、企業のマーケティングも活発化した。近年では、ECサイトでの突発的な購入を示す「パルス型消費」や、フリマアプリでの転売を前提とした「SAUSE」など、新たな消費行動も出現している。
今、消費者の購買行動は一段と多様化・複雑化しているが、企業には消費者との関係性構築がより一層重要になってきており、「消費」の形も大きく変化している。国内の企業、商店にとってもこの消費の変化への対応がさらに強まる一年となりそうだ。