第2235号 怒るエネルギーを忘れてしまった日本人
2023.06.01
昨日(5月28日)、難波の地下街にある中華チェーン店で五目焼そばと餃子一人前を食べた。ここでは何十年来、これしか食べないので、丁度のお金(1180円)を握ってレジに向かった。ところが、店員さんに告げられたのは1340円だった。昨今の値上げブームが、この大衆中華料理店にも押し寄せていたのだ。街中を見渡して、値上げしていないのは百均の店ぐらいで、あらゆる物が騰がっている。
とりわけ、この4月から、普段食べている食材や日常生活に欠かせない日用品まで、さまざまな物の値段が上がっている。この原因として挙げられるのは、エネルギーや原材料などの価格高騰。製品を作るにも運ぶにも、資源は欠かせない存在。以前にも増してエネルギーコストが掛かるため、その分が物価に反映されされている。さらに、円安の進行により、多くの食品・製品を輸入に頼っている日本では、円安が物価に大きく影響し、輸入コストが高くなる分、価格に反映されている現状がある。この物価上昇に比べて賃金はほとんど上がらず、本来であれば、これを異常な事態だと考えるべきだが、政府はなんだかんだと口にはするものの、結局はほとんど何もせず、国民の怒りの鉾先を躱している。
かつて日本人は元気よく怒っていた。働く人も、学生も、不満をぶつけて数万人規模でデモに参加し、国会を取り囲み、街にあふれ、警察と衝突した。ベトナム戦争が長引けば、アメリカに対しても怒った。今では、他人のことを怒鳴りながら本気になって怒る人も少なくなった。すっかり日本人は怒らなくなった。むしろ怒る人に冷ややかな視線を浴びせる。怒る原因に共感したとしても、怒るという行為自体を嫌悪する。そこで、街中から喧嘩をしている光景も姿を消した。若い人達のあり余るエネルギーは、一体どこへ行ってしまったのか。衣食足りて礼節を知る、静かで平和な国になった。
「60年代から70年代にかけての日本は元気があった。若者がすごいバイタリティーを持っていたことも含めて、日本は元気があった。今も、政府にいろんな問題が起きてはいるが、学生を中心とした若い人達はうんともすんとも言わない。50年前だったら学生は大デモンストレーションを起こしている。怒るべきことがいっぱいあるのに、怒らなくなってしまったのだ。
あらゆる物の価格高騰し、暮らしがどんどん圧迫される中でも、今の日本人は怒らない。もっと物言う国民であってほしい。
とりわけ、この4月から、普段食べている食材や日常生活に欠かせない日用品まで、さまざまな物の値段が上がっている。この原因として挙げられるのは、エネルギーや原材料などの価格高騰。製品を作るにも運ぶにも、資源は欠かせない存在。以前にも増してエネルギーコストが掛かるため、その分が物価に反映されされている。さらに、円安の進行により、多くの食品・製品を輸入に頼っている日本では、円安が物価に大きく影響し、輸入コストが高くなる分、価格に反映されている現状がある。この物価上昇に比べて賃金はほとんど上がらず、本来であれば、これを異常な事態だと考えるべきだが、政府はなんだかんだと口にはするものの、結局はほとんど何もせず、国民の怒りの鉾先を躱している。
かつて日本人は元気よく怒っていた。働く人も、学生も、不満をぶつけて数万人規模でデモに参加し、国会を取り囲み、街にあふれ、警察と衝突した。ベトナム戦争が長引けば、アメリカに対しても怒った。今では、他人のことを怒鳴りながら本気になって怒る人も少なくなった。すっかり日本人は怒らなくなった。むしろ怒る人に冷ややかな視線を浴びせる。怒る原因に共感したとしても、怒るという行為自体を嫌悪する。そこで、街中から喧嘩をしている光景も姿を消した。若い人達のあり余るエネルギーは、一体どこへ行ってしまったのか。衣食足りて礼節を知る、静かで平和な国になった。
「60年代から70年代にかけての日本は元気があった。若者がすごいバイタリティーを持っていたことも含めて、日本は元気があった。今も、政府にいろんな問題が起きてはいるが、学生を中心とした若い人達はうんともすんとも言わない。50年前だったら学生は大デモンストレーションを起こしている。怒るべきことがいっぱいあるのに、怒らなくなってしまったのだ。
あらゆる物の価格高騰し、暮らしがどんどん圧迫される中でも、今の日本人は怒らない。もっと物言う国民であってほしい。
第2234号 今日も多くの人で賑わう「天神橋筋商店街」
2023.05.15
日本一長い天神橋筋商店街(南北2.6km)は、今日も多勢の人達が歩いている。毎日、昼過ぎのピーク時はすれ違うのも大変な混雑ぶりを見せる。地方都市のシャッター通り商店街で商売する人達から見れば、なんとも羨ましい光景だろう。商店街というと、大型店との競合やネット通販の台頭で不況に苦しんでいる印象が強い。そんな中、にぎわいを見せる天神橋筋商店街で、まず歩いて実感できるもう一つの特徴が空き店舗の少なさだ。見渡す限り、ほとんどシャッター店舗が見当たらない。天神橋筋商店街は全600店舗もありながら、空き店舗率は4%という。中小企業庁が全国約3200カ所の商店街を調査したところ、空き店舗率は平均13%。「10%を超えると歩いていて空き店舗が目立つレベル」なだけに、天神橋筋商店街の空き店舗率がいかに低いかがわかる。午前11時の開店と同時に客の出入りが絶えない串カツ屋や寿司屋さん、さらには休日ともなると、大阪はもちろん、遠く京都や神戸からも客が商店街につめかける。そして、その元気な理由は、地元の大学商学部の先生によれば、日本一の商店街の長さそのものと関係しているという。天神橋筋商店街の起源は大阪天満宮の参道で、江戸時代前後には青物市場や乾物問屋街として栄え、それから長い商店街を形成してきた経緯がある。商店街がやや下火になり始めた30年前ごろに、日本一長いことをキャッチフレーズとして打ち出し始めたところ、客足が戻ってきたという。当時は天神橋筋商店街も大型店に押されて集客が振るわず、わかりやすい集客策として「日本一の長さ」をキャッチフレーズに採用。商店街の特徴をうまく発信し、反転のきっかけを作った。さらに、600店舗という店舗数も大きな魅力で、その中には、行列ができるコロッケ屋や、お好み焼き屋、豆腐の有名店など様々な種類の飲食店が軒を連ねる。これだけの数の店があれば、「ここにきたら必ず何かがある」というわくわく感も魅力になっている。ここ最近は、5月8日の水際対策緩和後に再び巻き起こるインバウンド(訪日外国人)ブームを背景に、訪日客がぐんと増えた。しかし、天神橋筋商店街はあくまでも、地元客が気軽に買い物できる店づくりを重視する店が多く、インバウンドの売り上げは当てにしない店がほとんど。コロナ前のインバウンドブーム時に、昔からのお客さんを捨て、インバウンドに特化して大失敗したミナミの黒門市場の例を教訓に、「通いたい」という気持ちを芽生えさせる商店街としての魅力作りに取り組んでいる。
第2233号 ゴールデンウイークの一考察
2023.05.01
今年も5月のゴールデンウィークがやってくる。この「ゴールデンウィーク」という言葉は、1951年(昭和26年)、現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画が、正月やお盆興行よりヒットしたのを期に、多くの人に映画を観てもらおうという当時の映画関係者による造語で、アメリカでは通用しない和製英語。その由来は、ラジオで最も聴取率の高い時間帯「ゴールデンタイム」に習ったもので、当初は「黄金週間」と言われていたが、インパクトに欠けることから「ゴールデンウィーク」となったという。
JTBは、今年のゴールデンウィーク(4月25日〜5月5日)における宿泊旅行の動向見通しをまとめた。出入国における水際対策の緩和が進み、国際航空便や国際クルーズ船の運航再開の動きが広がっていることから、今回は3年ぶりに海外旅行についても見通しを算出している。それによると、総旅行者数を2470万人、総旅行消費額を9040億円と推計。このうち、国内旅行については、旅行者数が前年比153.1%の2450万人(2019年比102%)、総旅行消費額はほぼコロナ前と同水準の8526億円、平均費用は同100.9%の3万4800円(2019年比96.9%)と算出した。海外旅行については、旅行者数が前年比400%の20万人(2019年比21.5%)と推計。2019年は10連休だったこともあり海外旅行者は増加したが、コロナ禍前まで10年間の平均と比較すると、3割超回復している。総旅行消費額は2019年比20.6%の514億円、平均費用は95.9%の25万7000円と予想している。
働く人にとっては休日はありがたいもの。戦後、日本は敗戦国にも関わらず驚異的な経済復興を遂げ、世界の経済大国への仲間入りを果たした。ただし、その要因のひとつに働き過ぎが指摘され、海外からの圧力に弱い日本は祝日の数を増やし続けた。そして今や、世界でもトップクラスの祝日大国となっている。つまり、休みの多い国となったのだ。その代表格の休暇期間がゴールデンウイークで、今年もその初日の4月29日は交通機関や高速道路に大きな影響が出た。毎年、その模様はテレビでしつこいぐらい流される。このことは、休みを取りたくとも取れない人達にとって「ザマー見ろ」という心境に火を付けているようにも思える。
ともあれ、働いている人達にとっての休みは、何物にも変え難い喜びで、小欄なんかも「休み」の楽しさを求めて懸命に働いているようなものと、つくづく考えるようになった。今年のゴールデンウイークも悔いの残らないようにしっかりと過ごしたいと思う。
JTBは、今年のゴールデンウィーク(4月25日〜5月5日)における宿泊旅行の動向見通しをまとめた。出入国における水際対策の緩和が進み、国際航空便や国際クルーズ船の運航再開の動きが広がっていることから、今回は3年ぶりに海外旅行についても見通しを算出している。それによると、総旅行者数を2470万人、総旅行消費額を9040億円と推計。このうち、国内旅行については、旅行者数が前年比153.1%の2450万人(2019年比102%)、総旅行消費額はほぼコロナ前と同水準の8526億円、平均費用は同100.9%の3万4800円(2019年比96.9%)と算出した。海外旅行については、旅行者数が前年比400%の20万人(2019年比21.5%)と推計。2019年は10連休だったこともあり海外旅行者は増加したが、コロナ禍前まで10年間の平均と比較すると、3割超回復している。総旅行消費額は2019年比20.6%の514億円、平均費用は95.9%の25万7000円と予想している。
働く人にとっては休日はありがたいもの。戦後、日本は敗戦国にも関わらず驚異的な経済復興を遂げ、世界の経済大国への仲間入りを果たした。ただし、その要因のひとつに働き過ぎが指摘され、海外からの圧力に弱い日本は祝日の数を増やし続けた。そして今や、世界でもトップクラスの祝日大国となっている。つまり、休みの多い国となったのだ。その代表格の休暇期間がゴールデンウイークで、今年もその初日の4月29日は交通機関や高速道路に大きな影響が出た。毎年、その模様はテレビでしつこいぐらい流される。このことは、休みを取りたくとも取れない人達にとって「ザマー見ろ」という心境に火を付けているようにも思える。
ともあれ、働いている人達にとっての休みは、何物にも変え難い喜びで、小欄なんかも「休み」の楽しさを求めて懸命に働いているようなものと、つくづく考えるようになった。今年のゴールデンウイークも悔いの残らないようにしっかりと過ごしたいと思う。