第2272号 日本の人口の将来を考える
2024.12.01
 毎年のことだが、12月の声を聞くと心がざわつく。町そのものも、道行く人も何とはなしにせわしなくなってきて、歳末特有の雰囲気がそこここに漂う。わが町天神橋筋も、インバウンドの人達も加わって、正月に向けて賑やかさが増していく。商人の町、大阪が活気に溢れ出すのだ。
 さて、今年の日本はどうだったのか。小欄が心に残った出来事を個人的に挙げてみた。
 ◇石川で震度7=能登に一時大津波警報◇日航機、海保機と衝突炎上=羽田空港◇日本初の月面着陸成功=探査機SLIM・JAXA◇石破内閣発足◇日本被団協にノーベル平和賞◇藤井聡太、最年少で永世称号=将棋◇新紙幣、流通開始=肖像は渋沢、津田、北里の3人◇最多56人届け出=都知事選告示=小池氏が都知事3選◇シンボル「大屋根」つながる=大阪・関西万博など、今年は全体に平穏な年であったため、話題の小粒感が否めない。
 そんな中、「人口戦略会議」が日本のこれからを決定づける人口の推移に問題を投げかけた。同会議は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数「若年女性人口」の減少率を市区町村ごとに分析した。それによると、2050年までの30年間で、若年女性人口が半数以下になる自治体は全体の4割にあたる744あり、これらの自治体は、その後人口が急減し、最終的に消滅する可能性があるとしている。10年前、2014年に行われた同様の分析に比べると「消滅可能性自治体」は152少なくなっている。
 これは、最新の人口推計で、将来の外国人の入国者が増加すると見込まれるためだが、有識者グループは、「実態として、少子化の基調は全く変わっておらず、楽観視できる状況にはない」としている。今回、新たに「消滅可能性自治体」と指摘されたのは99自治体で、前回は、東日本大震災の影響で対象とならなかった福島県の33自治体も含まれている。一方、今回、「消滅可能性自治体」を脱却したところは、239にのぼる。
 今回の分析では、2050年までの若年女性人口の減少率が20%未満にとどまっている、65の自治体を「自立持続可能性自治体」と名付け「100年後も若年女性が5割近く残っており、持続可能性が高いと考えられる」としている。
 また、大都市を中心に、出生率が低くほかの地域からの人口流入に依存している25の自治体を、出生率の向上に向けた対策が特に必要だとしている。その国の将来の命運を握る人口問題にはもっと真剣に向き合わなければならないと思う。
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