第2284号 2025年 値上げの春がやってきた
2025.06.01
 5月25日、休日出勤して昼食のため近くの中華料理店に向かった。メニューのほとんどが3割ほど上がっている。1000円でおつりが少ししかない。食べるものだけでなく、あらゆるものが値上がりしているのだ。4月から新年度に入って、生活に身近な商品やサービスの値上げが止まらない。長引く円安に加え原材料や包装資材、物流、人材確保などあらゆるコストが上昇し、食品だけで値上げ対象は4000品目を超え、米価高騰も大きな影を落としている。日用品からインフラ、学費まで「値上げの春」は家計に冷たい風を吹きつける。
 毎日、晩酌をするが、サントリー、アサヒビール、キリンビール、サッポロビールのビール大手4社は、いずれも主力ブランドを含む200品目超を4月1日に一斉値上げした。引き上げ幅は主な商品で15%にもなる。
こうしたビール類を含め4月から値上げを行う食品は4170品目にものぼるという。年間値上げ品目数は前年実績(1万2520品目)を大きく上回る2万品目に達すると見られている。生活に欠かせない日用品では、大王製紙が「エリエール」ブランドなど全ての家庭用紙製品の価格を10%以上引き上げた。インフラでは、電力大手10社が4月使用(5月請求)分の電気料金を平均的な家庭で前月比385円から465円引き上げた。政府の補助終了などが響き大幅な値上げになる。また、鉄道は新幹線などを含む全体の運賃でみた値上げ率が、JR北海道は7・6%、JR九州は15%に上る。
 このような値上げは学費も例外ではない。東大は2025年度の学部入学者から年間授業料を約10万7千円引き上げ、64万2960円となった。「学費ナビ」運営会社によると、私立大もサイトに登録された577校のうち107校が、入学金や授業料などを合わせた初年度納入額を平均5万円程度値上げした。
 相次ぐ値上げは避けて通れない。そこで「節約」という言葉が浮上する。広辞苑によると、節約あるいは倹約とは無駄遣いを極力なくすように努めること、むだ遣いをやめて切りつめることと解説している。
 日本は戦後、高度成長を旗印に掲げ、国も社会も企業もひたすら突っ走ってきた。そして消費は美徳とばかり、世の中にある、あらゆるものを消費(浪費)してきた。そんな風潮の中において、節約という概念は社会の隅っこに追いやられてきたのだ。日本および日本人は元来、資源に乏しい島国あって質素倹約を美徳とする民族であった。今こそ、「節約」の意味と価値を見直す絶好の機会が訪れたように思えてならない。
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