第2313号 書店が大変なことになっている
2026.08.15
 家でテレビを見ないと決めて半年になる。実践してみて分かったが、生活に何の支障もない。時間ができた分、本を読むようになった。もともと本好きで、2019年、病気で入院するのを機に断捨離を行い、2000册ほどあった蔵書を処分した。古本屋にまとめて9000円で引き取ってもらった。今も月に数冊のペースでゆっくり読書を楽しんでいる。6人兄弟の末っ子で育ち、本に興味を持ち出した小学生の高学年の頃には家の中は兄達の本で溢れ返っていた。そんな環境もあって、自然に本好きな少年に育っていった。
 そんな本好きな人間にとっては、今、出版業界に難問がふりかかっている。本は、文化を下支えし、国力をはぐくむ大事な基盤の存在だが、総務省調べでは、2023年に出た書籍新刊の刊行点数は6万4905点。1日あたり約180点の本が生み出されている。インターネットが普及してデジタルコンテンツも豊富になったが、やはり本のもつ情報の量、深さ、幅広さは図りしれないものがある。
 ところで今、全国の書店数が昨年度末で9993店となり、1万店を割ったことが日本出版インフラセンターの調べで分かった。紙の出版市場の不振の中、街の書店減少に歯止めがかからない状況が続く。同センターによると、昨年度の書店数は2024年度の1万417店から424店減少した。データのある1994年度以降、全国の書店数は1998年度の2万4237店をピークに減少に転じ、インターネットの普及やネット書店の伸長もあり、ピーク時の4割余りの市場となった。
 国家としても、書店を地域の重要な文化拠点と位置づけており、昨年6月には政府が「書店活性化プラン」を公表した。文化庁の2023年度調査では、「1カ月に1冊も本を読まない」人が全体の6割を超え、読書離れが進んでいるという。本を買う手段もアマゾンなどのネット書店が隆盛で、街の書店にとっては逆風の時代が続いている。こんな状況のなか、ネット書店の浸透も書店を脅かし始めた。出版物の売上が年々減少しているなか、ネット書店の売上は2013年に1600億円だったところ、2022年には2900億円まで伸びている。
 この状況下、このまま書店は街から消えてしまうのか。それとも残っていく道はあるのだろうか。かつて、地方都市の商店街には大小さまざまな書店が並び、地域の人々が日常的に立ち寄る「文化の拠点」として機能していた。近年の「街から本屋が消える」という状況は、国の文化を守っていく観点からもあつてはならない由々しき事態でもある。「若者よ、もっと本を読もう」。
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