第2261号 新しい消費の形「トキ消費」と「イミ消費」
2024.06.15
 コロナ禍以降、日本人の消費の形が様変わりしたといわれる。とりわけ、新たな価値が求められるようになったことで、「モノ」から「コト」への変化が顕在化してきたという。「モノ消費」は、商品・サービス自体に価値を見出す消費スタイルのことで、商品の品質や機能を重視し、カタチのあるモノの消費活動のこと。戦後の日本は生活用品を揃えるためのモノ消費の時代が続いたが、やがて「心」を満たす消費にシフトした。それを「コト消費」という。コト消費は、商品・サービスによって得られる「体験・経験」に価値を見出すもので、旅行やリラクゼーションなど、カタチのないことへの消費活動を指す。たとえば、旅行先のご当地グルメを写真に撮って、SNSやブログにアップ。コメントや「いいね」などの反応があったら嬉しい気持ちになってしまう。その反応も含め「心」を満たす事柄でもある。
 この「モノ」から「コト」へ消費が変化した背景として、日本国内における消費の「成熟化」が背景にある。テレビやエアコンが発売された当時は、生活を豊かにしてくれるモノとして機能が重視されていた。
 現在は、必要な家電などはほとんどの人に行き渡り、機能的な価値で選ばれにくくなっている。その意味では、モノ自体への価値の低下が、コト消費に繋がったのだともいえる。
 「モノ」から「コト」へ消費が変化した背景として、「国内消費」と「インバウンド消費」が挙げられる。日本国内における消費は、「成熟化」が背景にあり、最近は「トキ消費・イミ消費」という新たな消費にも注目が集まっている。
 SNSで、多くの人々が「コト消費」を拡散するのが当たり前になってきて、その結果、自分が体験しなくても多くの情報が手に入るようになってきた。
 「トキ消費」とは、イベントやフェスなど「その日」「その時間」「その場所」でしか体験できない事柄に参加する消費行動で、ライブ配信やWebセミナーなどオンラインのイベントもトキ消費に含まれる。さらに「イミ消費」とは、商品を通じて社会や環境に貢献する消費行動のことで、「モノ」を購入する「コト」を体験するだけではなく、そこに社会的・文化的価値「イミ」を見出す消費スタイルも注目を集めている。
 これらの例には、近年の『SDGs』への関心の高まりも影響しており、クラウドファンディングやふるさと納税など、イミ消費の代表的な例として、今後の消費の動きをリードしていくものとなりそうだ。
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