第2229号 各地のイベントは業界の力の源だ
2023.03.01
 2月末の土曜日、出社してこのコラムを書いている。昼食をとるため、会社から徒歩1分の至近距離にある天神橋筋商店街に向かった。いつものことながら、どこから人が湧いてくるのかというぐらいの混みようである。休日にすることのない中年夫婦を筆頭に、韓国からのインバウンドの人達が通りを闊歩している。地方のシャッター通り商店街を見慣れている人たちにとっては、驚きの光景だろう。しかしながら、この人たち、お店の人の話によるとほとんど何も買わない、店を覗くこともしない、ひたすら歩いているのだそう。モノを買う目的の人たちは、心斎橋筋か阪急や大丸百貨店に行くという。
 コロナ禍の3年間、大阪からほとんど外に出ない暮らしが続いている。久しぶりの新幹線、車で渋滞する道路、人で溢れかえるイベント会場。どれをとっても懐かしく、やっと普通の生活が戻ってきたことを感じる。思い起こせば、東京の日本ホビーショー、名古屋のハンドクラフトフェア、ギフトショー、そしてOSAKA手づくりフェア、広島手づくりフェアと、それらのすべてが無くなってしまった時期があった。その間、各地のイベントはリアルでの開催、オンラインによる開催、リアルとオンライン2本立てでの開催の3通りで行われたが、その中でも、オフィスや自宅にいながらオンライン上で展示会や見本市に参加できる「オンライン展示会」には救われてきた。また、さまざまなイベントの延期・中止も経験したが、展示会はあくまでリアル開催であってほしいと思う。
 開催されることが当たり前のように感じてきた展示会だが、コロナ禍にあっては、その裏にある主催者の並々ならぬ労力を感じる。まして、主催が地元の業者(小売店、問屋など)なら、その思いには一入のものがある。
 わが国で、手づくり関連のイベントがはじめて開かれたのは、東京や大阪ではなく、京都だったと記憶する。新聞を紐解いても、1979年(昭和54年)に京都市勧業館(現在のみやこめっせ)で開かれ、1万人を動員したとある。そして1980年代に入って日本ホビーショーがスタート。以後50年近くの歳月が流れたが、コロナ禍を除いて途切れることなく開催されてきた。とりわけ、業界のイベントには、ハンドメイドを通して人が集うことの温かさ、楽しさ、そしてやさしさをアピールする力があり、多くの手づくりファンを魅了し続けてきた。展示会の持つパワーは業界を支えるひとつの柱となっており、その価値はこれからもますます大きなものとなるように思える。
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