第2227号「サラリーマン川柳」から読み取る世の中の動き
2023.02.01
 今の時代を生きる我々にとって、世の中の動きを知ることができる「サラリーマン川柳」の入選作が発表になった。今年から『サラっと一句!わたしの川柳コンクール』と名称が変わった中でのコンクール。今回の応募総数は前年を約2万句以上も上回る8万5437句が集まった。
 『サラリーマン川柳コンクール』から名称リニューアル後、初めての開催となる今回のコンクール。定番の家庭や職場のあれこれを詠んだ作品はもちろん、2022年の世相を表す句のほかに、自分自身の趣味のことなど、幅広く自由なテーマで詠まれた句の応募があった。急激な物価上昇の中で節約にいそしむ姿や、物価高をネタとした川柳が数多く入選。たび重なる日用品の値上げに人々は右往左往。そんな苦労をも笑いに変える句が多くの人の共感を呼んだ。また、スピードの早い「物価上昇」に子どもとのやりとりをかけた句や、食べる量が減ったことで思いがけず「健康」を招いた、といった句も選出された。
 新型コロナウイルスの流行から3年が経過。withコロナの新生活様式も定着し、もはやマスクは手放せないアイテムの一つとなっている。そんなマスクが当たり前の生活ならではの暮らしを詠んだ作品が、今回も多数入選した。リモートワークから出社へと切り替わり、直接顔を合わせる機会が増えたものの、同僚の素顔を知らない日常に、昨年の大ヒット曲を組み合わせた一句も。また、飲み会で初めてマスクの下の素顔を知った、そんな様子をストレートに表現した作品が優秀100句入りを果たした。
優秀100句のうち、小欄の目にとまった区を何区か紹介してみる。
『ワクチンと 村上打って 熱上がる』(みらいむ)
『妻を向き 帰ってこない 扇風機』(山宗雲水)
『アクリル板 部下との距離も 半透』(ピロトシ)
『また値上げ 節約生活 もう音上げ』(健康奉仕)
『実物の 部下知らぬまま 定年す』(リモート課長)
『解禁だー 喜ぶ上司 沈む部下』(宴会部長)
『妻からの 指令はいつも リモートで』(単身パパ)
『ひと言が 多い家内と 足りぬ僕』(減点パパ)
『物価高 食べる量減り 健康に』(メタボ)
『特売か!? 並んでみたら 検査列』(新米節約主婦)
『オレオレと マスク外して 顔認証』(生存認証機)
 急激な物価上昇の中で節約にいそしむ姿や、物価高をネタとした川柳が数多く入選。たび重なる日用品の値上げに人々は右往左往。そんな苦労をも笑いに変える句が多くの人の共感を呼んでいる。依然として続く閉塞感の中、川柳で笑い飛ばすしかないようだ。
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