第2263号 自転車大国 大阪で「自転車」を考える
2024.07.15
 今日も大阪の町は自転車で溢れ返っている。前籠とうしろの荷台に子供を乗せ、3人乗りでスイスイと走るお母さんも見かける。自転車の通行が禁止されている歩行者専用道路上を、左耳にイヤホンを付けて音楽 を再生し、飲料を持った右手でハンドルを握り、左手でスマートフォンを持って操作するなどしながら走行している若者を多い。人間の脚力だけで進む自転車は排気ガスを吐き出すこともなく、自然環境にもやさしい。とくに合理的な大阪人にとって自転車は生活になくてはならぬ存在になっている。小欄も今を去ること数十年前の高校生の頃、毎年夏休みに自転車で百貨店のお中元の品を運んだ記憶がある。
 今や生活に欠かせないものとなった自転車は明治時代の末期にわが国に渡来したといわれ、その後一般庶民に普及し、第2次大戦後の1950年代にサイクリングブームが起こり、加速度的に普及していく。2019年の自転車保有台数は約7000万台に登り、都市における一交通手段として、広く日常生活に浸透してきた。現在、環境に優しく、健康にも良く、経済的で、災害時にも有効な交通手段として、世界的に自転車利用が促進されている。また、コロナ禍を通して、自転車通勤者の増加や、15分コミュニティにおける交通手段としても、改めて注目されている。
 自転車の保有台数はこの40年近くで2倍以上に増えているが、ここ10年ぐらいは横ばいとなっている。地域的に見ると、人口100人あたり保有台数第1位は埼玉県で76台。2位以下は大阪府(75台)、京都府(75台)東京都(72台)と都市部が続いてる。鉄道網が発達した都市部では鉄道と自転車が庶民の足となっている。全国的に見ると自転車保有台数よりも自動車保有台数が多いところが多く、自転車の方がが多いのは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県の8都府県だけとなっている。東日本よりも西日本、中でも関西周辺で自動車保有台数が多い。節約思考が強い関西では安く移動できる自転車が好まれている。
 一方、46位の長崎県は人口が多い長崎市、佐世保市に坂が多いことが普及の妨げとなっていると思われる。最下位の沖縄県も実は坂が多い上、すべて車で用を済ませてしまうので自転車利用者は極端に少ないのだ。小欄自身は齡を重ね、もう自転車にすら乗れない年齢に達してしまった。さわやかなシーズンには颯爽と風を切ってペダルを踏みたいものと思う。そういえば会社の近所でも、自転車に乗っているお年寄りをついぞ見かけなくなってしまった。むべなるかなの心境でいる。
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