第2248号 今年の漢字一文字は「税」
2023.12.15
 令和5年もあと3週間、今年はロシアのウクライナ侵攻をのぞいては、世界も日本も比較的平穏な1年だったように思う。とはいえ、世界は常に動いている。年明けから、さまざな出来事がテレビ、新聞を賑わせた。とくに日本にとっての大きなニュースは、スポーツ界に集中した。
 3月、野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)がアメリカ・フロリダ州で日本とアメリカの決勝が行われ、日本が3対2で勝って、3大会ぶり3回目の優勝を果たした。そして第105回全国高等学校野球選手権大会では、慶應義塾高校が第2回大会以来、107年ぶりに優勝。文武両道で、歴史ある高校の優勝は、野球に特化した学校が優勝することが多い中で特筆できる出来事であった。またプロ野球では、日本シリーズで阪神タイガースがオリックス・バファローズを下して38年ぶり2度目の日本一に輝いた。パリーグの覇者オリックスブレーブスとの優勝パレードには神戸、大阪で100万人がつめかけ、スポーツが持つパワーをまざまざと見せつけた。野球以外では、バスケットボールワールドカップにおいて日本代表がアジア1位で2024年パリオリンピック出場権を獲得。自力での獲得は48年ぶりという。
 今年もまた、「今年の漢字」が12月12日に発表された。日本漢字能力検定協会が、その年の世相を表す漢字ひと文字を一般から募集し、最も多かった字が選ばれる。今や、師走を彩る京都の風物詩となっている。発表は午後2時から京都の清水寺で行われ、「税」の文字が選ばれた。応募総数約15万票のうち、「税」が5976票を集めた。一年を通して増税議論が活発となり所得税や住民税の定額減税が話題となった。また、2位は「暑」、3位は「戦」、4位は「虎」、5位は「勝」、6位は「球」、7位は「高」、8位は「変」、9位は「増」、10位は「楽」だった。
 これまでの漢字を振り返ると、最も多く選ばれたのは「金」が4回。いずれもオリンピックが開催された年に選ばれている。ちなみに過去8年では◇2022年「戦」◇2021年「金」◇2020年「密」◇2019年「令」◇2018年「災」◇2017年「北」◇2016年「金」▽2015年「安」となっている。
 一方、企業が選ぶ今年の漢字は「変」となった。「生活や働き方改革、人手不足、物価上昇、異常気象、国内外の政治情勢など世の中の急激な変化」、「人工知能(AI)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの技術革新」といった変化や変革を強く感じた企業の声を反映した。
 新しい年に向かって漢字一字の持つ意味をかみしめたい。
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