第2198号 働き方改革を加速させるリモートワーク
2021.11.15
 歳を重ねるにつれ、1日1日経つのが早まるように思える。今年の夏、東京で行われたオリンピックも、はるか昔の出来事のように脳裡をよぎる。ある学者によると、確かに、歳をとると1日経つのが早まる(ように思える)と感じるのは正解だという。毎日同じことの繰り返しで、新しい物事に出会わない日々が続く。平板な生活、言い替えると刺激がないと、時間の経過は早まる、たとえば、見知らぬ土地で、はじめて行く場所は、行きの方が帰りの倍近く時間を要したように感じることがある。心理作用で時間の経過に違いがでるのは、当然のことなのである。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、どこにも出かけず、会社と家の往復のみの暮らしが続いている。刺激とはほぼ無縁の毎日だ。幣紙のクライアントの会社でも、リモートワークが一気に進んだ印象があり、2年近く顔を合わせていない人も多い。
 コロナ禍のお陰で、色んな面で、日本社会で問題となってきた「働き方改革」が実践できるようになった。コロナ禍がもたらせてくれたプラスの副産物が生まれたのだ、都会生活者は明けても暮れても満員電車にゆられ、オフイスと家を往復し。ほぼ同じメンバーで週に何回か一杯やって帰路につく。10年1日が如し、こんなサラリーマンの生活がコロナ禍によって一変したのだ。とくに、リモートワークは、柔軟な働き方を実現する手段として、働き方改革を加速させるものとなった。政府が進めようとしてきた「働き方改革」が労せずして手に入る事態が起りつつある。「通勤時間が減ったことで、仕事をしながら、すき間時間で効率的に家事をこなせるようになった」という声や「在宅になったことで以前より育児に参加できるようになった」という男性の声も耳にする。
 また、「地方で働く」という選択肢も以前より現実的になり、リモートワークができるのであれば、必ずしも都市部にいる必要はなくなり、希望の土地に住むことがより現実味を持って考えられるようになった。ライフスタイルに合わせて、働く場所を選べる時代になったといえる。柔軟な働き方ができるという点では、多くのメリットをもたらしたリモートワーク。もちろん、その課題も多く、とくに議論をしたり、アイデアを出したりする面では、オフィスで働く場合と比べてアイデアが出にくいという調査結果も出ている。職場のコミュニケーションは常に工夫されてきたが、リモートワークという新しい働き方が加わり、さらなる工夫が求められるようになっている。
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