第2221号 食欲の秋に「食品ロス問題」を考える
2022.11.01
 秋がやってきたと思っていたら、今朝(26日)は10度を少し上回る寒さで、ジャケットを羽織って出た。街行く人もすっかり秋の装いに変わっている。数日前まで半袖でもよかったから、一気に季節が変わってしまった。ひと昔前まで、日本は四季がある美しい国だと言われてきたが、最も過ごしやすい春と秋の期間ははどんどん短くなっているようだ。
 さて、秋はまた、食欲の増すシーズンでもある。昨日、食堂で和食定食を注文したら、吸い物の中に、爪の先ほどの松茸のかけらが入っていた。季節ものなので、ありがたく頂戴した。わが国では、毎日3食を当たり前のように食べているばかりか、飽食の時代ともいわれ、今、食べ物を粗末に扱ってしまっている。以前、私達が育ってきた戦後には、ひと粒の米を残してもきつく叱られたものだ。まさに隔世の感がある。
 その一方で、今この時も飢餓に瀕している子供、達が世界中に存在する。皮肉なもので経済の発展とともに増加したのが食品廃棄物である。中でも「本来食べられるのに廃棄される食品」を食品ロスと呼ぶ。イメージしやすいもので言えば、形が崩れたりした規格外の加工食品、賞味期限切れ加工食品、さらに家庭、飲食店での食べ残しなども食品廃棄物となる。
 日本では今、一体どれほどの食品ロスがあるのか。今年6月の農林水産省発表の資料によると、廃棄物処理法における食品廃棄物は、事業系が275万トン、家庭系が247万トンと計算されており、合計で事業者の食品廃棄物は1,624万トン、全体の食品ロスは522万トンと言われている。これはあまりイメージできない重さで、キログラムに直すと52億2千万キログラム。10kgのお米が5億7千2百万袋分の計算になる。一般廃棄物処理費用は年間2兆円にも及ぶとも言われている。
 私たち日本人は、食品においてかなり厳しく品質を求める傾向があり、賞味期限6カ月の食品の場合、製造日から賞味期限までの合計日数の3分の1を経過した日程までを納品可能な日とし、3分の2を経過した日程までを販売可能な日(販売期限)とする。近年はこのルールが「期限に合理的根拠はなく、食品や資源のムダにつながる」という理由から見直しが検討され、少しずつ改善に向けて動いている。 
 食品ロス問題。消費者が正しい知識を持って「もったいない」「まだ捨てるべきではない」と自ら商品を評価・判断していき、意識改革をしていくことが、問題解決に一番大きな力となるものと見られる。
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